日本大百科全書(ニッポニカ) 「経営比較」の意味・わかりやすい解説
経営比較
けいえいひかく
Betriebsvergleich ドイツ語
同一期間または同一時点におけるある企業の財務数値(損益計算書、貸借対照表データ)を他の企業の財務数値と比較・分析し、企業内容の相対的な良否を判定しようとする手法。相互比較ともよばれ、第一次世界大戦後にドイツで行われるようになったものである。比較の対象としては、(1)自社と同業他社、(2)自社と同業数社、(3)自社と同業全社の平均(標準)値、などがあげられる。また比較すべき財務数値についても、(1)実際数値どうし、(2)実際数値と平均(標準)数値のケースがある。さらに広義の経営比較にあっては、財務数値のみならず、技術力、人員数、社会的責任達成度、成長力などをも加味した経営の総合力を一定の測定尺度で表現し、比較、順位づける試みも一般的になってきている。経営比較を有効に行うためには、比較される企業間において同一の会計処理がなされていること、企業規模、業種、会計期間、比較数値の分類・表示などで著しい相違がないこと、が必要とされる。なお、最近は経営分析においても異なる企業経営を比較することが不可欠となってきたため、経営比較と経営分析とは同じ意味に用いられることが多くなっている。
[佐藤宗弥]