日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュマーレンバハ」の意味・わかりやすい解説
シュマーレンバハ
しゅまーれんばは
Eugen Schmalenbach
(1873―1955)
ドイツの経営経済学者。ウェストファーレンの小村シュマーレンバハに生まれ、ケルンで没した。1900年ライプツィヒ商科大学を卒業、1901年同大学助手となる。1904年ケルン商科大学に移って専任講師となり、1906年私経済学教授、1919年経営経済学教授となったが、1933年ナチスによる政変のため退官、1945年にふたたびケルン大学に復帰した。その間多大の業績を残し、また、多数の優れた研究者を育成して、いわゆるケルン学派を確立し、1920年以後の十数年にわたってシュマーレンバハ時代を画した。その学問的業績は多方面にわたり、とくに会計学研究における業績として、『動的貸借対照表論』Dynamische Bilanz(1919)、『原価計算と価格政策』Kostenrechnung und Preispolitik(1919)、『コンテンラーメン』Kontenrahmen(1927)の3書は、会計学における古典的名著とされている。なかでも、『動的貸借対照表論』は、近代会計学の基礎をなす動態論の確立に貢献した。なお、1906年に彼が創刊した『商業学研究雑誌』Zeitschrift für handelswissenschaftliche Forschungは、今日に至るまでドイツの、さらには世界の経営学界をリードする役割を果たしてきている。
[宇南山英夫]
『土岐政蔵訳『動的貸借対照表論』(1956・森山書店)』▽『宮上一男編『会計学講座Ⅵ シュマーレンバッハ研究』(1974・世界書院)』