絶滅種再生(読み)ぜつめつしゅさいせい(その他表記)de-extinction

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「絶滅種再生」の意味・わかりやすい解説

絶滅種再生
ぜつめつしゅさいせい
de-extinction

絶滅した種をよみがえらせる研究。脱絶滅,蘇生生物学とも呼ばれる。かつては荒唐無稽なアイデアとみなされたが,選択的交配遺伝学クローン技術の進歩により絶滅種の復活も夢ではなくなった。なかでも重要な進展は 1990年代に開発された体細胞核移植法 SCNTであった。この技術を用いて,世界初の哺乳類のクローン,クローン羊ドリーがつくりだされた(1996誕生,2003死亡)。2009年には,SCNTを用いて絶滅種の復活まであと一歩のところまで迫った。保存されていた組織標本を使って,絶滅したヤギの一種ピレネーアイベックス Capra pyrenaica pyrenaica(別名ブカルド。→アイベックス)のクローンがつくられたが,生まれてまもなく重度の肺障害により死亡した。この研究を機に,絶滅種を復活させることの是非,復活させる方法,その種をどう管理するかといった問題をめぐり,議論が交わされた。再生させる絶滅種の候補は数多く存在し,例としてマンモスの一種 Mammuthus primigeniusリョコウバト Ectopistes migratoriusフクロオオカミ Thylacinus cynocephalus,カモノハシガエル Rheobatrachus silusなどがあげられる。恐竜は,組織標本があまりに古く DNAが劣化しているため,復活させることはできないとされる。SCNTのほかに,人工多能性幹細胞iPS細胞)などの幹細胞を使った研究も行なわれている。

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