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人工多能性幹細胞 じんこうたのうせいかんさいぼう induced Pluripotent Stem cell

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

人工多能性幹細胞
じんこうたのうせいかんさいぼう
induced Pluripotent Stem cell

皮膚など成体の細胞にいくつかの遺伝子を人工的に導入してつくった多能性幹細胞iPS細胞と略される。培養して増殖させることができ,適当な因子を加えることなどで体を構成するほとんどすべての細胞にできるため,この名がある。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

人工多能性幹細胞

分化を終えいったん成熟した細胞へ、人工的にいくつかの遺伝子を導入するなどして、別の様々な細胞に分化・増殖する能力をもたせた細胞のこと。特定の細胞や臓器を分化させることによって再生医療の可能性を拡大、新たな遺伝子治療や、薬の開発プロセスでの応用など、医学の臨床及び基礎研究の両面で、今後、大きな役割を担っていくものと期待されている。
2012年のノーベル生理学・医学賞は、06年にマウスの皮膚細胞からiPS細胞をつくることに成功した日本の山中伸弥(京都大学教授)と、その先行研究として1960年代にカエルの未受精卵への核移植でクローンカエルをつくることに成功し体細胞の分化多能性を示唆した英国のジョン・ガードンに授与。
皮膚や血液などの体細胞に由来するiPS細胞は、受精卵に人為的操作を加えてつくるES細胞のように生育すれば個体となるはずのものを発生初期に壊してしまうという倫理的問題をもたない。また、ヒトの臓器を再生して移植する場合などには本人の細胞を用いることによって拒絶反応を起こさずにすむ可能性もあるといったメリットがある。
マウスに続いてヒトの皮膚細胞でも実験は成功し、更にiPS細胞から心筋細胞やランゲルハンス島(すい臓にあり、インスリンを分泌する組織)への分化に成功するなど、世界各地で研究が進められているが、がん化のリスクコントロールする技術の開発や、生殖医療や再生医療に用いる場合の倫理的問題など、未解決の課題も多い。12年11月、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)が先端医療センター病院(同市)にiPS細胞を使った滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性の治療を申請したことが明らかになった。申請が認められれば、世界で初の臨床応用となる見込み

(石川れい子  ライター / 2012年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

じんこうたのうせい‐かんさいぼう〔‐カンサイバウ〕【人工多能性幹細胞】

iPS細胞

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

人工多能性幹細胞
じんこうたのうせいかんさいぼう
induced pluripotent stem cell

人体のどの組織にもなる能力をもった万能細胞の一種。略称iPS細胞。誘導多能性幹細胞ともいう。2007年(平成19)11月、京都大学再生医科学研究所の山中伸弥(しんや)(1962― )のチームが、人の皮膚や関節内の細胞に複数の遺伝子を組み込んだiPS細胞を作製することに成功したと国際誌『セル』Cellに発表し、世界的な話題になった。万能細胞は受精卵が分割してできた胚(はい)のように、あらゆる組織や臓器になる能力のある未分化な細胞。1998年、アメリカ・ウィスコンシン大学グループが受精卵の途中段階を操作した胚性幹細胞(ES細胞)を作成して初名乗りをあげた。ES細胞からは神経、血液、心臓、肝臓、皮膚などさまざまな細胞ができることは確認ずみだが、受精卵を使うため、宗教界などからの強い批判が出た。そのため、受精卵を使わず、ふつうの細胞からの万能細胞の開発競争が展開されていた。山中らはES細胞で働く中心の4個の遺伝子を組み込んでiPS細胞をつくる先陣をきり、再生医療がにわかに現実味を帯びてきた。
 ウィスコンシン大学チームも2007年11月、新生児細胞で人のiPS細胞をつくったと国際誌『サイエンス』Scienceに発表、製薬企業も含めた研究競争も熾烈(しれつ)になっている。4遺伝子のうち1個は癌(がん)遺伝子のため、実際に使用したときの発癌性が心配されているが、2007年12月、山中らはそれを除いた3遺伝子でもiPS細胞作成に成功した。
 一方、アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)などのチームはその直後、山中式のマウス万能細胞を利用してマウスの貧血治療に成功したと発表した。異常遺伝子をもつ遺伝性貧血のマウスの細胞に4種類の遺伝子を入れてiPS細胞に変えてから、異常遺伝子を正常遺伝子と交換、これを血液をつくる造血幹細胞に分化させてマウスの体内に戻すという手法である。比較的簡単な病気とはいえ、iPS細胞での初めての治療なので意義深い。
 現在の臓器移植は、移植用の臓器不足と、他人の組織を拒否する反応を抑える免疫抑制剤を常用しなければならないのが難点である。本人の細胞からiPS細胞ができれば、これらは根本的に解決できる。再生医療には目的の細胞に効率よく分化させる技術、細胞を機能しやすい形や組織にする技術なども必要で、まだ課題は多いが、さまざまな病気の人間の細胞を自由につくれることで、病気の研究や薬の開発が飛躍的に進む可能性がある。[田辺 功]
『山中伸弥・畑中正一著『iPS細胞ができた!――ひろがる人類の夢』(2008・集英社) ▽田中幹人編著『iPS細胞――ヒトはどこまで再生できるか?』(2008・日本実業出版社) ▽『iPS細胞――再生医療への道を切り開く』(2008・ニュートンプレス) ▽八代嘉美著『iPS細胞――世紀の発見が医療を変える』(平凡社新書)』

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