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幹細胞 かんさいぼう stem cells

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知恵蔵2015の解説

幹細胞

幹細胞は、組織や臓器に成長する(分化する)元となる細胞で、それぞれの臓器で固有に存在する。大人になれば消えてしまうと考えられていた神経幹細胞も、マウス、サル、ヒトなどで1990年代に相次いで見つかった。幹細胞をうまく増殖、分化させることによって、必要とされる細胞や組織を作り出すことができる。さらに、受精卵が数回分裂した段階で得られる胚性幹細胞(ES細胞=embryonic stem cells)では、すべての臓器の細胞が作られるので非常に有用だが、倫理的な問題もある。2007年11月、京都大学山中伸弥教授らのグループによって、皮膚由来の体細胞(主に線維芽細胞)に数種類の遺伝子を導入することで、ES細胞に似た分化万能性(pluripotency)を持たせた人工多能性幹細胞(iPS細胞;induced pluripotent stem cells)を作成することに成功した。これにより、ヒト胚を使うという倫理的な問題については、解決されることになる。幹細胞を利用した再生医療の具体例としては、肝硬変や血液疾患、心筋梗塞バージャー病の治療、血管の構築、骨や角膜の再生、移植用皮膚の確保、などが考えられている。試験管内で幹細胞などから目的とする細胞や臓器を増殖させ、人に移植する場合と、再生を促す物質(肝細胞増殖因子=HGF:hepatocyte growth factor、血管内皮増殖因子=VEGF:vascular endothelial growth factorなどで、再生医薬と呼ばれている)を体内に注入し、生体内にある幹細胞から目的とする細胞や組織を作らせる方法がある。最近、骨髄由来の幹細胞から血管新生を行い、狭心症、心筋梗塞などの治療に成功している。

(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2008年)

幹細胞

分化する能力を保ったまま自己増殖する一群の特別な細胞。適切な条件を与えられると、分化細胞を生み出す。受精卵は成体がもつすべての細胞を作りだすことができる幹細胞で、細胞分裂を繰り返し、様々な機能をもつ体細胞へと分化する。体細胞の中にも、分化できる細胞の範囲は狭まるが、多様な細胞に分化する能力を保った体性幹細胞があり、(骨髄)造血幹細胞の他、神経幹細胞、筋肉幹細胞、肝臓幹細胞などが知られている。1998年にヒトの初期胚で、受精卵と同じようにあらゆる細胞に分化する能力をもつ胚性幹細胞(ES細胞=Embryonic Stem Cell)が発見され、再生医学において大きな注目をあびている。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

かん‐さいぼう〔‐サイバウ〕【幹細胞】

stem cell発生の過程や、臓器・組織・器官の再生・維持の過程で、細胞を供給するもととなる母細胞のこと。自分と同じ幹細胞を作る能力と、体を作るさまざまな細胞に分化する能力とをあわせもつ、未分化の細胞。受精卵の一段階である胚盤胞から取り出した内部細胞塊から樹立されるES細胞や、体細胞に特定の遺伝子を導入することにより樹立されるiPS細胞はすべての細胞に分化することが可能(万能細胞)。また、生体の各組織の中にある、造血幹細胞・神経幹細胞・皮膚幹細胞といった体性幹細胞は、血球や神経、皮膚など特定の組織を構成する細胞に分化する。

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栄養・生化学辞典の解説

幹細胞

 増殖能と分化能の両方の性質を備えた細胞で,自ら増殖しながら分化した細胞を生産していく.例えば血液幹細胞は,増殖しつつ赤血球や諸種の血液細胞(血球)を生産する.

出典|朝倉書店
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大辞林 第三版の解説

かんさいぼう【幹細胞】

分化細胞のもととなる母細胞の総称。生体のさまざまな組織の細胞に分化する能力と,分裂を繰り返しながら増殖していく能力をもち,それぞれの組織の生理的再生に関与する。骨髄幹細胞や神経幹細胞などの体性幹細胞と,生体のさまざまな組織に分化する可能性をもつ ES 細胞がある。

出典|三省堂
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世界大百科事典内の幹細胞の言及

【造血幹細胞】より

…単に幹細胞ともいい,リンパ球や赤血球,白血球などの血液細胞のもととなる細胞をいう。骨髄など造血器官に存在する。…

※「幹細胞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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