改訂新版 世界大百科事典 「続資治通鑑長編」の意味・わかりやすい解説
続資治通鑑長編 (ぞくしじつがんちょうへん)
Xù zī zhì tōng jiàn cháng biān
中国,北宋一代の歴史書。南宋の李燾(りとう)(1115-84)の著作。司馬光の《資治通鑑》に続ける目的で,北宋太祖から欽宗に至る9代167年の詳細な事実を年代順に記述する。長編とは未定稿の意味。1163年(隆興1)から83年(淳熙10)の間,6回に分けて順次皇帝に上進され,本文604冊980巻,目録と挙要83巻,合計1063巻あった。現在は神宗と哲宗のかなりの部分と,徽宗,欽宗朝全部が欠落している。太祖から英宗まで5代の分は板刻され,現在まで伝わるが,神宗以後は数部ずつの鈔本があっただけで,明代後半にはすでに亡失していた。さいわい《永楽大典》の宋の韻字の所に収録されていた神宗と哲宗朝の相当部分が,清の乾隆年間(1736-95)に集められ,英宗以前と組み合わせて520巻の現行本が作られた。南宋の著名な史学者であった李燾は,宮中史館にあって,当時利用できた資料すべてを使い,党派的偏見を極力抑え,事実を網羅的に叙述。北宋研究の最も基本的文献といえる。
執筆者:梅原 郁
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報