綸言汗の如し(読み)リンゲンアセノゴトシ

デジタル大辞泉 「綸言汗の如し」の意味・読み・例文・類語

綸言りんげんあせごと

《「漢書」劉向伝から》天子言葉は、出た汗が体内に戻らないように、一度口から出れば取り消すことができない。

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精選版 日本国語大辞典 「綸言汗の如し」の意味・読み・例文・類語

りんげん【綸言】 汗(あせ)の如(ごと)

  1. ( 「漢書‐劉向伝」の「号令汗、汗出而不反者也、今出善令、未時而反、是反汗也」から ) 君主の言は、一度出た汗が再び体内にもどらないように、一度口から出たら、取り消すことができない。
    1. [初出の実例]「爰以仏は虚妄せずと言給ひ、綸言汗のことし。天子は二言なしと申たり」(出典:康頼宝物集(1179頃)下)

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ことわざを知る辞典 「綸言汗の如し」の解説

綸言汗の如し

天子が一度口に出したことばは汗と同じで、元に戻し取り消すことはできない。

[使用例] 軍の参謀部というのは、わたし自身も軍人ではあるが、何ともわけのわからんもので、軍司令官がひとたび軍命令として禁止令を出した以上は「綸言汗のごとし」だ、撒回することは出来ぬというのです[読売新聞社編*昭和史の天皇|1967]

[解説] 「綸」は組糸のことで、「礼記―緇衣」に「王言は糸の如くなれば、その出づるや綸の如し」とあります。そこから「綸言」で、天子のお言葉の意となります。「漢書―劉向伝」には「号令は汗の如し、汗は出でて反らざる者なり」とあり、両者を踏まえて成立した表現と思われます。しかし、漢籍にこの表現は確認できず、日本独自のものである可能性が高いと考えられます。上方いろはかるたに採録されていますが、頭文字に「り」のつくことわざが少ないことも影響しているでしょう。

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