ことわざを知る辞典 「綸言汗の如し」の解説
綸言汗の如し
[使用例] 軍の参謀部というのは、わたし自身も軍人ではあるが、何ともわけのわからんもので、軍司令官がひとたび軍命令として禁止令を出した以上は「綸言汗のごとし」だ、撒回することは出来ぬというのです[読売新聞社編*昭和史の天皇|1967]
[解説] 「綸」は組糸のことで、「礼記―緇衣」に「王言は糸の如くなれば、その出づるや綸の如し」とあります。そこから「綸言」で、天子のお言葉の意となります。「漢書―劉向伝」には「号令は汗の如し、汗は出でて反らざる者なり」とあり、両者を踏まえて成立した表現と思われます。しかし、漢籍にこの表現は確認できず、日本独自のものである可能性が高いと考えられます。上方のいろはかるたに採録されていますが、頭文字に「り」のつくことわざが少ないことも影響しているでしょう。
出典 ことわざを知る辞典ことわざを知る辞典について 情報