緇衣(読み)シイ

精選版 日本国語大辞典 「緇衣」の意味・読み・例文・類語

し‐え【緇衣】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「緇」は出家の意。「え」は「衣」の呉音 ) 仏語。鼠色がかった黒色法衣。また、それを着る僧侶。黒衣。しい。
    1. [初出の実例]「真諦憐俗物、緇衣交素履」(出典経国集(827)一〇・帰休独臥寄高雄寺空海上人〈小野岑守〉)
    2. [その他の文献]〔詩経‐鄭風・緇衣〕

し‐い【緇衣】

  1. 〘 名詞 〙しえ(緇衣)〔新撰字解(1872)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「緇衣」の意味・わかりやすい解説

緇衣
しえ

黒色(こくじき)の法衣(ほうえ)。一般に墨染(すみぞめ)の色をいう。律蔵によれば、鼠毛(ねずみけ)色の濃いものといわれ、純黒色ではない。袈裟(けさ)は青、黒、木蘭(もくらん)の壊色(えじき)を如法(にょほう)色とするため、袈裟を緇衣ともいい、転じて、僧侶(そうりょ)を意味する。韓国ベトナムの僧は緇衣を用いている。日本では禅宗で多く用いられたが、現在では雑行のときに着る作務衣(さむえ)に使用されている。

[川口高風]

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普及版 字通 「緇衣」の読み・字形・画数・意味

【緇衣】しい

黒い衣。のち、僧衣。〔詩、風、緇衣〕緇衣の宜しき 敝(やぶ)れなば予(われ)改め爲(つく)らん

字通「緇」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「緇衣」の意味・わかりやすい解説

緇衣
しえ

仏教用語。僧が着る黒色の法衣。転じて僧を意味する。日本では,禅宗で多く用いていたが,あとでは隠遁僧や平僧がおもに用いるようになった。

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