改訂新版 世界大百科事典 「綾小路家」の意味・わかりやすい解説
綾小路家 (あやのこうじけ)
公卿雅楽家の一家で,特に郢(えい)曲を伝承した。宇多天皇の第8子敦実(あつみ)親王の子源雅信(920-993)の子孫信有を始祖とする宇多源氏の一流で,鎌倉時代信有(1257-1324)が庭田家から分家して綾小路家を創始した。以来,源家流郢曲の伝承は庭田家から綾小路家にその中心が移った。戦国期に一時中絶したが,1613年(慶長18)高有が再興。明治維新後は雅楽局の設置などによって伝承の義務を失った。古くから宮中歌会の披講を務める家柄でもある。綾小路敦有《郢曲相承次第》(1375),信俊《梁塵曲総(惣)目録》,俊量《綾小路俊量卿記》(1514)等,雅楽関係の貴重な著書が著されている。
執筆者:宮崎 まゆみ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報