緑の館(読み)ミドリノヤカタ(その他表記)Green Mansions

日本大百科全書(ニッポニカ) 「緑の館」の意味・わかりやすい解説

緑の館
みどりのやかた
Green Mansions

イギリスの作家W・H・ハドソンの活劇長編ロマンス。1904年刊。革命で祖国ベネズエラを追われたアベルは南アメリカの大森林に近い部族のなかに身を潜める。悪霊が住むと部族が信じて近づかない森を探検して、彼は不思議な鳥寄せの声に魅せられる。やがて森の精のような美少女リーマに会い、鳥寄せの美しい声の主が彼女だと知る。アベルとリーマは恋に落ちるが、やがてリーマは部族に捕らえられ焼き殺される。アベルはその復讐(ふくしゅう)に集落を焼き尽くし、自然の調和が崩壊する。アベルはグイアーナの町に帰り、権力金銭の生活を捨てて精神的生活に入る。リーマは、都会生活に倦(う)んだ人たちには理想的自然の象徴で、1924年イギリスの彫刻家エプスタインがロンドンのハイド・パークに建てた彫刻「リーマ像」によっていっそう有名になった。

[前川祐一]

『柏倉俊三訳『緑の館――熱帯林のロマンチスト』(岩波文庫)』『蕗沢忠枝訳『緑の館』(新潮文庫)』

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