ハドソン(読み)はどそん(英語表記)Henry Hudson

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハドソン」の意味・わかりやすい解説

ハドソン
Hudson, Rock

[生]1925.11.17. イリノイ,ウィネトカ
[没]1985.10.2. カリフォルニア,ビバリーヒルズ
アメリカ合衆国の俳優。本名 Roy Harold Scherer, Jr.,のちに Roy Fitzgerald。二枚目俳優として知られ,1950~60年代は映画,1970年代以降はおもにテレビで活躍した。第2次世界大戦中は海軍で兵役につき,1946年に俳優を志してハリウッドに移る。1947年タレントスカウトの目に留まり,ジブラルタルの岩 Rock of Gibraltarとハドソン川 Hudson Riverにちなんでロック・ハドソンの芸名をもらう。ワーナー・ブラザーズと契約し,『特攻戦闘機中隊』Fighter Squadron(1948)で映画デビュー。1年後,ユニバーサルに移籍。『心のともしび』Magnificent Obsession(1954)で主役を演じ,スターの地位を確立した。『ジャイアンツ』Giant(1956)では昔かたぎの牧場主を好演し,アカデミー賞主演男優賞にノミネート。1950年代の終わりには,ハリウッドの稼ぎ頭の一人に数えられた。ドリス・デーと共演した『花は贈らないで!』Send Me No Flowers(1964)などの作品ではコメディの才能も披露している。エイズによる合併症のため 59歳で死去する直前に,同性愛者であることを公表。エイズの恐ろしさに対する認識を高めることに大きく貢献した。

ハドソン
Hudson, Henry

[生]1550頃
[没]1611
イギリスの航海者,探検家。北極海経由の中国航路を求めて4回の航海を行う。第1回目は 1607年ロシア会社のためになされ,ヤンマイエン島を見出す。 08年同会社の要請でスピッツベルゲンとノバヤゼムリヤ間の中国航路を探索。 09年オランダ東インド会社の依頼で第3回目の航海に出発,彼の名にちなんだハドソン湾を経て,ニューアムステルダムにいたり,さらにハドソン川をさかのぼりオールバニ近くに達した。 10年第4回目の航海のためロンドンを出発。6月中頃ハドソン海峡を通り,8月ハドソン湾に達した。食糧不足から隊員間に不和を生じ,息子および仲間7名とともにボートに強制移乗させられ,漂流,消息不明となった。

ハドソン
Hudson, Manley Ottmer

[生]1886.5.19. セントピータース
[没]1960.4.13. ケンブリッジ
アメリカの法学者。ミズーリ,ハーバード両大学教授。アメリカの国際連盟加盟を強く主張したが果せず,1919年みずから国際連盟事務局に入り,各種の国際会議法律顧問として参加。国際裁判の研究に精力を注ぎ,33年常設仲裁裁判所裁判官,36年から 10年間,常設国際司法裁判所判事をつとめた。主著『国際組織の発展』 Progress in International Organization (1932) ,『常設国際司法裁判所』 The Permanent Court of International Justice (34) ,『国際裁判所──過去と未来』 International Tribunals,Past and Future (44) 。

ハドソン
Hudson, William Henry

[生]1841.8.4. ブエノスアイレス近郊
[没]1922.8.18. ロンドン
イギリスの作家,博物学者。放浪生活ののち 1874年イギリスに定住,南アメリカを舞台としたロマンスを書いた。代表作『ラ・プラタの博物学者』 The naturalist in La Plata (1892) ,『緑の館』 Green Mansions (1904) ,自伝『遠い国,はるかな昔』 Far Away and Long Ago (18) のほか,イギリスの田園を描いた『イギリス徒歩旅行』 Afoot in England (09) や鳥類の研究がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハドソン」の意味・わかりやすい解説

ハドソン(William Henry Hudson)
はどそん
William Henry Hudson
(1841―1922)

イギリスの小説家、博物学者。アルゼンチンのブエノス・アイレスに近いラ・プラタで、アメリカ人家庭に生まれる。1869年イギリスに移住し、1900年に帰化したが、晩年まで貧困で孤独な生活を送る。子供のころから自然の観察に興味をもち、著作には『ラ・プラタの博物学者』(1892)など鳥の生態を描いたものが多い。『羊飼いの生活』(1910)は一人の羊飼いを中心に人間と動物とが一体となって暮らすイギリスの田園生活を描いた傑作である。作家として名声を確立した作品は、南アメリカの森林を舞台に、幻想的少女リーマの恋物語を配した活劇的ロマンス『緑の館(やかた)』(1904)であろう。南アメリカでの少年時代は『はるかな国、遠い昔』(1918)に詳しい。

[前川祐一]


ハドソン(Henry Hudson)
はどそん
Henry Hudson
(1550ころ―1611)

イギリスの探検航海者。1607年からロシア会社のために北西航路、北東航路の開拓に努め、09年オランダ東インド会社の依頼でふたたび新航路開拓を試み、ノバヤ・ゼムリャ島に達したのち、西進してアメリカ大陸に至り、ハドソン川をオルバニーまで遡行(そこう)して、オランダのニュー・アムステルダム植民地の基礎を築いた。さらに翌年イギリス商人たちの援助のもとに北西航路探索の航海に出発し、カナダ北部を探検してハドソン湾(この名称は彼の名にちなんだもの)一帯を調べ、イギリスの北カナダ支配の基礎をつくったが、まもなく乗組員の反感を招き、息子ジョンおよび同志7名とともにボートに移乗させられ、そのまま行方不明になった。

[松村 赳]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android