(読み)びん

精選版 日本国語大辞典 「緡」の意味・読み・例文・類語

びん【緡】

  1. 〘 名詞 〙
  2. (ぜに)の穴にさし通して一束にするのに使うなわ。さし。ぜにさし。ぜになわ。〔色葉字類抄(1177‐81)〕 〔漢書注‐武帝紀〕
  3. 銭縄(ぜになわ)にさしてある銭。百文ないしは千文(一貫)を単位とした。緡銭(びんせん)。さし。〔伊京集(室町)〕
    1. [初出の実例]「客、五節毎に銭数緡を投じて」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「緡」の読み・字形・画数・意味


15画

[字音] ビン
[字訓] つりいと・なわ・かける

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(びん)。〔説文十三上に「魚を(いと)なり」とあり、〔詩、召南、何彼矣(かひじようい)〕に「其のは維(こ)れ何ぞ 維れ絲、伊(こ)れ緡」とみえる。また銭を貫くなわをいい、その銭を緡銭という。漢代には千銭を一貫とした。すべてなわのようにしてかけるものをいう。

[訓義]
1. つりいと。
2. なわ、ぜにさし。
3. かける、きせる、つける、ほどこす。
4. あう。
5. 愍(びん)と通じ、いたむ、うれえる。

[古辞書の訓]
名義抄〕緡 ツラヌヲ 〔字鏡集〕緡 マウシトルナハ・イトヲ・ツリノヲ・ホドコス・ツラヌ・ゼニツラヌク・ナハ・ヲ

[熟語]
緡課・緡緡乎・緡泉・緡銭緡蛮緡緡緡綸
[下接語]
金緡・牽緡・告緡・算緡・糸緡・収緡・垂緡・銭緡・長緡・釣緡・俸緡・斂緡

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【貫】より

…中国の宋代のころに始まる通貨の単位で,銭貨1000文(もん)のことをいう。この名称は銅銭1000枚の穴に緡(びん)(鏹(きよう)ともいい,ぜにざしのこと)を貫いて束ねたことに由来し,日本でも唐銭,宋銭の流入に伴って室町時代前後から用いられるようになった。江戸時代になると通貨は基本を異にする金,銀,銭の3貨に分かれ,基本単位は金貨が小判の両(=4分=16朱),銀貨が匁,銭貨が文であり,銀貨1000匁を1貫目,銭貨1000文を1貫文と呼んだ。…

※「緡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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