罪の文化・恥の文化(読み)つみのぶんか・はじのぶんか

百科事典マイペディア 「罪の文化・恥の文化」の意味・わかりやすい解説

罪の文化・恥の文化【つみのぶんか・はじのぶんか】

米国の人類学者ベネディクトが《菊と刀》(1946年)において用いた文化類型。西欧的な罪の文化では,道徳は絶対的な標準をもつものとされ,個々人が良心による内面的な罪の自覚に基づいて行動を律している。それに対して日本人の生活に見られる恥の文化は,他者非難嘲笑を恐れて自らの行動を律するという。したがって前者では,自分の非行を誰一人として知らなくとも罪に悩むのに対し,後者では,露顕しなければ恥ではなく,思いわずらうことはない,とされる。この類型論は日本文化論の展開に大きな影響を与えた。その後,さまざまな批判が与えられてきたが,外国人研究者による日本研究の成果として取り上げられることが多い。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android