美濃地・黒谷(読み)みのじ・くろだに

日本歴史地名大系 「美濃地・黒谷」の解説

美濃地・黒谷
みのじ・くろだに

現益田市上黒谷町・黒周くろす町・美濃地町・有田ありた町地域に所在した長野ながの庄を構成する内部の所領単位。貞応元年(一二二二)九月一八日の六波羅御教書案(益田家文書、以下断りのない限り同文書)によれば、石見国守護に対して、菖蒲五郎真盛が「美乃知黒谷」の地頭職を賜っている。長禄四年(一四六〇)二月一七日の益田兼尭安堵支証目録によれば、同年八月一七日に関東下知状が出されたことがわかるが、そこには「末知福原」も載せられていたが、すでに他人に与えていたため取消された。「末知福原」がどこをさすのかは不明。菖蒲氏は相模国御家人波多野の一族(秀郷流系図波多野)、実盛(真盛)承久の乱の勲功により当地を獲得した。実盛の所領は延応二年(一二四〇)三月九日に嫡子実基に主要部分が譲られ、庶子に一部が譲られた。美濃地村の場合、庶子実時・実高らに一部が与えられ、仁治三年(一二四二)一〇月二三日に幕府が安堵した(「将軍家政所下文」長府毛利家文書)。基本的には黒谷郷を中心とする嫡子実基と美濃地村を中心とする庶子実時の系統に分れ、実基の後は実成・実秀・康秀・秀貞と継承されて南北朝期を迎えた(益田兼尭惣安堵支証目録)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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