日本大百科全書(ニッポニカ) 「美白化粧品」の意味・わかりやすい解説
美白化粧品
びはくけしょうひん
しみやそばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑える成分が配合された化粧品。厚生労働省が美白効果の有効性と安全性を認めた美白有効成分として、アルブチン、コウジ酸、トラネキサム酸、ビタミンC誘導体、リノール酸S、ルシノールなど、およそ20種類が医薬部外品の認可を受けている。美白化粧品の多くは、メラニン色素の生成に必要な酵素チロシナーゼの働きを阻害しながら、表皮と真皮の間の基底細胞にある色素生成細胞メラノサイトの活性化を抑制するなどの方法で、しみなどの黒ずみを生まないようにする。こうした美白化粧品はビタミンCの美白効果が話題をよんだ1960年代から徐々に浸透した。1980年代に入り、資生堂がアルブチン配合の化粧品を開発したことをきっかけに、多くの美白有効成分が登場して広まった。2013年(平成25)時点で、日本の美白化粧品の市場規模は2000億円を超え、スキンケア製品の5分の1以上を占めるとされる。
一方で、美白化粧品をめぐる被害も出ている。2013年にはカネボウ化粧品の美白化粧品で、肌がまだらに白くなる「白斑(はくはん)」被害が相次ぎ、会社側は同年7月4日に製品回収を発表した。以降2か月間で皮膚の異常を訴えた被害者は約1万4000人となった。同社の美白化粧品には、新しく開発された医薬部外品有効成分のロドデノールが配合されていた。白斑の原因はまだ詳しくわかっていないが、メラニン色素の生成を抑える効果があるロドデノールが含まれた美容液や化粧水、クリームなどの複数の製品を使うことにより、成分濃度が高くなりすぎたためではないかと指摘されている。安全性を確認するための事前の臨床試験では美白成分の濃度を2倍としていたが、化粧品は同じメーカーやシリーズの複数種の製品を、同時に使用することが一般的なだけに、化粧品会社や厚生労働省の審査の改善を求める声が高まっている。
[編集部]