美的感情(読み)びてきかんじょう(その他表記)ästhetisches Gefühl

精選版 日本国語大辞典 「美的感情」の意味・読み・例文・類語

びてき‐かんじょう‥カンジャウ【美的感情】

  1. 〘 名詞 〙 美意識における感情。人が対象に美的に反応した時、美的直観によってそれを観照するのに対し、内発的に触発されて起こる心の動き。
    1. [初出の実例]「美育は美的感情を発達せしむるなり」(出典:病牀譫語(1899)〈正岡子規〉三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「美的感情」の意味・わかりやすい解説

美的感情
びてきかんじょう
ästhetisches Gefühl

美意識あるいは美的体験における感情のことをいい,立場によって説が分れる。感情移入美学は美意識の構造を感情移入の原理で解明するが,大別すると,現実感情説,感情表象説,および両者の総合の立場に区別される。現実感情説は,感情移入の過程が現実的感情にあると主張するもので,K.グロース,T.リップスに代表される。感情表象説は感情移入過程の直接性を否定し,感情移入過程が感情の表象にあるとするもので,S.ウィタセクらに代表される。 J.フォルケルトは基本的には感情表象説の立場をとるが,感情移入過程の発展段階として「主観的に強調された感情移入」を認め,両者の総合ともいうべき立場をとっている。新カント学派の美学者 H.コーエンは,カント美学の解釈を試みつつ,カントの方法論を発展させて,純粋感情の美学を提唱した。彼によれば,純粋感情は快,不快の感情でも,感覚感情でもなく,意識の根源からの純粋生産の方式であるとされた。現象学の美学では,これも立場により説が分れるが,たとえば R.オーデブレヒトは総体感情 (気分) の観点から美的感情の問題を取上げている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む