日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォルケルト」の意味・わかりやすい解説
フォルケルト
ふぉるけると
Johannes Volkelt
(1848―1930)
ドイツの哲学者。バーゼル、ウュルツブルク、ライプツィヒ各大学教授を歴任。カント、ヘーゲル、ショーペンハウアー、E・v・ハルトマンの影響を受け、認識論、形而上(けいじじょう)学、美学、宗教哲学で業績を残した。批判的観念=実在論および批判的形而上学の代表者。彼自身は自説を主観主義的超主観主義と称した。認識論を確実性の無仮定的理論とし、形而上学を絶対者、神に進む学とし、絶対的精神の形而上学が宗教学であると唱えた。美学においてはリップスによって唱えられた感情移入説を採用し、思弁的美学と心理学的美学の総合を図った。著書『経験と思惟(しい)』Erfahrung und Denken(1886)など。
[千田義光 2015年3月19日]