フォルケルト(読み)ふぉるけると(英語表記)Johannes Volkelt

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォルケルト」の意味・わかりやすい解説

フォルケルト
ふぉるけると
Johannes Volkelt
(1848―1930)

ドイツの哲学者。バーゼルウュルツブルク、ライプツィヒ各大学教授を歴任カントヘーゲルショーペンハウアー、E・v・ハルトマンの影響を受け、認識論、形而上(けいじじょう)学、美学宗教哲学業績を残した。批判的観念実在論および批判的形而上学の代表者。彼自身は自説を主観主義的超主観主義と称した。認識論を確実性の無仮定的理論とし、形而上学を絶対者、神に進む学とし、絶対的精神の形而上学が宗教学であると唱えた。美学においてはリップスによって唱えられた感情移入説を採用し、思弁的美学と心理学的美学の総合を図った。著書『経験と思惟(しい)』Erfahrung und Denken(1886)など。

[千田義光 2015年3月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フォルケルト」の意味・わかりやすい解説

フォルケルト
Volkelt, Johannes

[生]1848.7.21. リプニク
[没]1930.5.8. ライプチヒ
ドイツの哲学者,美学者。感情移入美学の代表者。 1883年バーゼル,89年ウュルツブルク,94年ライプチヒの各大学教授。カントおよびドイツ観念論の影響を受け,哲学的には批判的形而上学の立場に立った。美学的には,リップスと並んで,感情移入の作用を美学的に基礎づけ,かつその体系化を試みた。また美的範疇論に関しては,心理主義美学の立場から範疇をきわめて多種にわたって枚挙,分類した。主著『経験と思惟』 Erfahrung und Denken (1886) ,『美学体系』 Das System der Ästhetik (3巻,1905~14) ,『確実性と真理』 Gewissheit und Wahrheit (18) ,『美意識論』 Das ästhetische Bewusstsein (20) 。

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