改訂新版 世界大百科事典 「習慣性脱臼」の意味・わかりやすい解説
習慣性脱臼 (しゅうかんせいだっきゅう)
recurrent dislocation of joint
ふつうでは起こらない程度の外力で容易に脱臼するものをいい,正確には反復性脱臼というべきところを通常,習慣性脱臼と呼んでいる。習慣性脱臼が生ずるのは肩,あご,ひざの関節であるが,最も多いのが肩関節である。上肢を挙上,外旋して(テニスでサーブする際のような形)脱臼することが多い。転んだりして一度外傷性肩関節脱臼を生ずると,そのあとでもう一度以上脱臼を起こす可能性は70%といわれるくらい脱臼しやすくなる,つまり習慣性となりやすい。これには外傷性脱臼時の骨の損傷,関節包の弛緩その他多くの原因があるとされている。男性に多く,脱臼すると痛み,通常自分では整復できない。脱臼していないときは症状がないか,倦怠感を感ずる程度であるが,つねに脱臼しないかという不安感を強くもっている人が多い。治療は手術によるが,その種類はきわめて多い。脱臼しないようにその方向に制動を行う方法がよく用いられる。
→脱臼
執筆者:山本 真
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報