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耐性遺伝子 たいせいいでんし

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

耐性遺伝子
たいせいいでんし

特定あるいは複数の薬剤に対する耐性を細菌細胞に与える遺伝子。こうした遺伝子は癌(がん)細胞などの細胞膜上にみつかるP糖タンパク質をコード(指定)することがわかっている。P糖タンパク質には、細胞に障害を与える細胞毒性をもつ外来物質を細胞外へ排除する作用があり、抗癌剤の排泄(はいせつ)が促されてしまう。薬剤耐性を示す新たな耐性菌の出現とその耐性菌に対する抗生物質の開発はいたちごっことなっている。そのなかでカルバペネム系抗菌薬は、多くの細菌に作用する抗菌薬(抗生物質)の切り札として大いに期待されており、イミペネムやメロペネムがその代表的なものである。
 しかし2013年(平成25)6月に、このカルバペネムを分解してしまう新型の耐性遺伝子をもつ病原菌が、東南アジアから帰国した旅行者の痰(たん)のなかからみつかった。OXA(オキサ)48型という耐性遺伝子をもつ病原菌で、カルバペネムを分解してしまうカルバペネマーゼの複数あるタイプの一つであり、肺炎桿菌(かんきん)の一部がこれを産生することも明らかになった。この耐性遺伝子をもつ耐性菌は2001年にトルコで発見され、その後ヨーロッパで急速に広がりをみせ数十人が死亡し、アメリカでもこの耐性菌による死者が報告されている。また、β(ベータ)-ラクタム系抗菌薬に耐性を示す酵素をβ-ラクタマーゼとよぶが、OXA48はペニシリンやセファロスポリンほかほとんどのβ-ラクタム系抗菌薬が効かないもっとも危険なβ-ラクタマーゼである。β-ラクタマーゼには、ペニシリンに耐性を示す酵素であるペニシリナーゼ、セファロスポリンに耐性を示す酵素であるセファロスポリナーゼなどがある。癌細胞がひとたびこの耐性遺伝子により耐性を獲得すると、抗癌剤を細胞外へ排出するようにはたらき、一つの抗癌剤だけでなく複数の薬剤にも耐性を示すようになる。このことから多剤耐性遺伝子とよぶことが多い。OXA48は、カルバペネム系抗生物質に限らず、ペニシリンや第三世代セフェム系のセファロスポリンなど複数の薬剤に耐性を示す、これまでにみられなかったタイプの非常に危険性の高い耐性遺伝子である。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉の解説

たいせい‐いでんし〔‐ヰデンシ〕【耐性遺伝子】

細菌や細胞に対し、薬剤耐性をもたせる遺伝子群。

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