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薬剤耐性 やくざいたいせいdrug resistance

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

薬剤耐性
やくざいたいせい
drug resistance

耐薬性のこと。単に耐性または抵抗性ともいう。薬物を反復投与すると,そのあとでは同じ量を投与しても当初と同様の効果が現れず,所期の効果を得るためには用量を増す必要のあることがある。この現象をさす。原因としては,薬物の吸収,代謝などが変化する場合と,生体細胞の抵抗性が増大する場合がある。特にモルヒネ,アルコール,催眠剤などでみられる。ある薬物に耐性を生じると,類似の薬物に対しても耐性が現れることがあり,これを交差耐性という。

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栄養・生化学辞典の解説

薬剤耐性

 抗生物質など薬剤に対して抵抗性を示すことで,微生物がこの性質を獲得すると,その微生物に対する感染症にその薬剤が効かなくなる.

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大辞林 第三版の解説

やくざいたいせい【薬剤耐性】

ある生物が変異によって、その生育を妨げるような薬剤の下でも生育できるようになること。 → 耐性

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

薬剤耐性
やくざいたいせい
drug tolerance

単に耐性ともいう。薬物を反復投与していくと、その薬物に対して生体の感受性が低下することがしばしばみられる。すなわち、連用により同じ用量を投与しても効果が現れず、徐々に増量していかなければ効かないという現象を耐性toleranceという。一方、化学療法剤では、反復投与により病原寄生体がその薬物に対して感受性の低下をおこし、効かなくなる現象がみられる。この場合の耐性は抵抗性resistanceとよんで区別される。つまり、生体側の薬物に対する感受性低下現象がtoleranceで、耐容性、耐薬性ともいわれ、生体には関係のない、微生物など病原寄生体そのものの感受性低下現象がresistanceである。薬剤耐性を示す薬物としては、催眠薬、モルヒネ、アルコールなどが知られる。また、ごく短時間内に現れる耐性をタキフィラキシーTachyphylaxie(ドイツ語) あるいはタキフィラキシスtachyphylaxisといい、急性耐性ともよばれる。エフェドリンがよい例で、1回目の数分後に2回目の投与を行っても薬効が明らかに減弱する。
 なお、抗生物質・化学療法剤ではペニシリン系、セフェム系、アミノ糖系、パラアミノサリチル酸製剤、イソニアジドなど、多くの薬剤に耐性菌が発現しており、耐性菌に対する新しい薬物の開発が進められている。とくに抗微生物薬の耐性については、化学構造の類似した薬物に対しても耐性現象がみられ、交叉(こうさ)耐性とよばれる。他の薬物についても、同様な交叉耐性がみられる。[幸保文治]

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世界大百科事典内の薬剤耐性の言及

【耐性】より

…しかし極端に耐性の強い品種や,偶然出現した耐性の強い突然変異体は,ほとんど被害をまぬがれるので,農業においてはこのような耐虫性・耐病性品種の育成が盛んに試みられている。 一方,人間の作り出した薬剤に対しては,生物は急速に耐性を発達させ,いわゆる薬剤耐性(薬物耐性)の生物ができてくる。抗生物質をはじめ種々の医薬に対する耐性菌の出現,あるいはDDTその他の殺虫剤に対する抵抗性品種のハエ,カ,農業害虫など,その例はきわめて多く,大きな社会問題となっている。…

※「薬剤耐性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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