六訂版 家庭医学大全科 「肛門のでき方と解剖」の解説
肛門のでき方と解剖
(直腸・肛門の病気)
痔を理解するには肛門のでき方(発生)とその仕組み(解剖)を知らなくてはなりません。肛門はどのようにしてできたのでしょう。
胎児がお母さんの体内にできたての時は、肛門のあるところの皮膚にくぼみがあるだけで肛門はありません。それが成長するにつれ、徐々にくぼみはその深さを増してゆき、同時に腸は徐々に下がっていきます。そして最後に、降りてきた腸と深さを増していった皮膚のくぼみとがドッキングして、でこぼことした境目を残しながらお尻に穴が、つまり肛門が形成されます(図11)。
でこぼことした境目は今でも残っていて、その部分を
肛門は皮膚と同じものでできていて、直腸は腸と同様のものでできています。そのため、歯状線を境に下の肛門は皮膚と同様に痛みに敏感ですが、上の直腸は痛みを感じません。
このような便の出口である肛門、直腸を囲んで、これらの締まりに関係した筋肉(
内括約筋は常時、肛門をある一定の力で締めています。夜寝ていて便をもらすことがないのも、この筋肉のおかげです。意思の力と関係のない筋肉で、直腸の筋肉と同じ
外括約筋は内括約筋の外側を囲む筋肉で内括約筋より強大な筋肉です。肛門を締めたり、ゆるめたりできるのもこの筋肉のはたらきによります。手や足の筋肉と同じに意思の力で動かせる
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報