育休切り(読み)いくきゅうぎり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「育休切り」の意味・わかりやすい解説

育休切り
いくきゅうぎり

出産休暇産休)、育児休業育休)を取得することを理由に、企業がその社員退職を強要すること。あるいは育休取得後に復職しようと人事部などに相談した社員に対し、戻るポストがないなどの理由を告げて復職を拒否すること。産休に対して行われることを産休切りとよぶこともある。育休切りは、男女雇用機会均等法育児介護休業法、労働基準法で禁止されている違法行為である。退職を強要した場合だけでなく、産休や育休を理由とした降格減給、正社員からパートタイム・アルバイトなどへ雇用形態を変更することも違法となる。しかし、実際には多くの企業において育休切りが常態化している。とくに、2008年(平成20)のリーマン・ショック以降、製造業などでは、業績悪化を理由に大規模な派遣切りが行われただけでなく、育休切りも増加した。そのため、厚生労働省では2009年3月に「現下の雇用労働情勢を踏まえた妊娠出産、産前産後休業及び育児休業等の取得等を理由とする解雇その他不利益取扱い事案への厳正な対応等について」という通達を出し、都道府県の関係部署、企業に対して適切な対応を促している。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

人事労務用語辞典 「育休切り」の解説

育休切り

妊娠・出産や産休、育児休業(以下、育休)などの取得を理由に、企業が社員に退職を強要したり、降格や異動を命じたりする不当な取り扱いを「育休切り」といいます。2008年秋のリーマンショック以降、経営環境の急速な悪化に伴って、人件費削減のための「育休切り」が横行しているといわれます。
(2009/11/20掲載)

出典 『日本の人事部』人事労務用語辞典について 情報

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