育児・介護休業法に基づき、働く人が子どもを養育するために仕事を休む制度。期間は原則、子どもが1歳になるまで。事情があれば最長2歳まで延長できる。男女ともに2回まで分割して取得が可能。男性には、育休とは別に子どもの出生後8週間以内に最大4週間取得できる「産後パパ育休」もある。従業員数が千人超の企業には男性の育休取得率を年1回公表する義務がある。
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育児のための休暇で、適用労働者は休暇終了後ふたたび職場に復帰することができる。日本では当初、日本電信電話公社(現、日本電信電話株式会社)や若干の民間企業において実施されていたにすぎなかったが、1975年(昭和50)7月に成立した「育児休業法」(正式名称は「義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律」昭和50年法律62号)によって、国・公立学校の女性教師、社会福祉施設の看護婦や保母など、女性に限って適用されるようになった。その後、本格的な制度導入の必要性が高まり、1991年(平成3)「育児休業等に関する法律」(平成3年法律76号)が成立、全事業所の労働者に適用されるようになり、1992年4月から施行(ただし、従業員30人以下の事業所は3年間の猶予)された。1995年には介護休業についての規定(努力義務)が追加され、法律名は「育児休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」となり、1999年には介護休業制度が義務化されたのをきっかけに「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(略称「育児・介護休業法」)と改題され、その後いくたびかの改正を経て現在に至っている。
現行制度においては、原則として満1歳未満の子を養育する労働者(子が1歳6か月になるまでの間に雇用契約が満了することが明らかでない男女労働者)は、1人の子につき原則として分割して2回まで育児休業を取得することができる(事業主への申し出により1歳6か月または2歳まで延長可能)。両親ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2か月になるまで取得可能となっている。また、出生時育児休業(男性版産休)制度が設けられ、休業の2週間前までに申し出れば、子の出生後8週間以内に分割して2回、4週間まで取得できる(実施2022年10月めど)。事業主には、子が生まれる従業員に育児休業の制度を個別に周知し、取得の意向を確認すること(2022年4月~)、さらに従業員数1000人超の企業には育児休業取得状況の公表(2023年4月~)が義務づけられる。小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者については、時間外労働(1か月24時間、1年150時間を超える労働)・深夜業(午後10時から午前5時までの労働)の制限が受けられ、1年に5日(2人以上の場合は10日)まで看護休暇の取得が時間単位でも可能である。そのほか3歳未満の子を養育する労働者は、所定外労働の制限(残業の免除)や所定労働時間短縮の措置を受けることができる。事業者は、育児休業・看護休暇・時間外労働の制限などの申し出を理由に、労働者に対して不利益な取扱い(解雇・減給・降格など)をしてはならず、ハラスメントの防止措置を講じなければならない。
育児休業中は、要件を満たせば雇用保険から育児休業給付金が支給される。給付額は、育児休業開始日から半年間は育児休業前6か月間の平均賃金の67%、半年以降は50%となっている。
[湯浅良雄・編集部 2021年11月17日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…85年に制定された〈男女雇用機会均等法〉には,女性労働者のために,事業主が,育児のための便宜供与をする努力規定がおかれた(旧11条)。しかし,育児などの家族的責任は男女が平等に担うべきだとする思想が国際的に普及するようになり,日本でも法の改正が行われ,91年の〈育児休業に関する法律(育児休業法)〉は,男女ともに育児休業を申し出ることができると定めるようになった。現行の〈育児・介護休業法〉(1995年成立)によれば,1歳未満の子どもをもつ男女労働者は,子どもが生まれた日から満1歳の誕生日の前日までの間の希望する期間,休業をすることができる。…
※「育児休業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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