六訂版 家庭医学大全科 「胃・十二指腸憩室」の解説
胃・十二指腸憩室
い・じゅうにしちょうけいしつ
Diverticula of stomach and duodenum
(食道・胃・腸の病気)
どんな病気か
胃・十二指腸憩室は、胃壁や十二指腸壁の一部が袋状に拡張して突出したものです。単発であることが多く、大きさは胃憩室は1~7㎝程度、十二指腸憩室は1~3㎝程度です。胃憩室は、その他の消化管憩室に比べて頻度が低い(0.03~0.3%)のですが、十二指腸憩室は胃憩室よりも頻度が高く(5~10%)、加齢とともに増え、増大する傾向があります。
原因は何か
胃憩室の好発部位は、
十二指腸憩室の好発部位は十二指腸
症状の現れ方
小さな胃憩室は多くが無症状ですが、大きな憩室では食後の
十二指腸憩室も多くが無症状ですが、まれに腹痛、発熱、出血、穿孔を伴う急性憩室炎、閉塞性
検査と診断
胃・十二指腸憩室はほとんど症状がないために、胃のX線造影検査や内視鏡検査で偶然発見されることが多い病気です。十二指腸憩室の精密検査で、低緊張性十二指腸造影検査が行われることがあります。
治療の方法
胃憩室の多くは予後が良好なので、とくに治療する必要はありません。しかし、胃憩室炎、胃潰瘍、出血などの合併がみられた場合は、まず保存的治療を行います。保存的治療で改善がみられなかったり、がんの合併、穿孔などが疑われた場合には手術を行います。
十二指腸憩室も多くは予後が良好なので、とくに治療する必要はありません。憩室炎、レンメル症候群(憩室が胆管を圧迫することによって起こる閉塞性黄疸)などの合併がみられた場合には手術を行います。
病気に気づいたらどうする
症状がなければ様子をみていいでしょう。何らかの症状が現れた場合には、内科もしくは外科で診察を受けてください。
千葉 勉, 伊藤 俊之
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報