家庭医学館
「脂漏性皮膚炎」の解説
しろうせいひふえん【脂漏性皮膚炎 Seborrheic Dermatitis】
[どんな病気か]
頭、顔面(鼻のわきや額など)、わきの下、股(また)など、皮脂腺(ひしせん)がよく発達し、皮脂の分泌(ぶんぴつ)の多い部位にできる湿疹(しっしん)です。赤みのある境界のはっきりした湿疹で、皮膚がふけのように細かくむけてきます。わきの下や股のところにできると、湿った感じになります。前胸部や背中の中央部にできることもあります。
乳児と20~40歳代の人によくできます。乳児の場合は、成人よりも脂(あぶら)っぽいかさぶたが頭や顔にできます。
かゆみはあまりありませんが、できやすい体質があるため、治ってもすぐ再発します。体調が悪かったり、入浴できなかったりすると悪化します。
頭部の皮膚が細かくカサカサとむけるふけ症は、炎症症状をともなわない軽症の脂漏性皮膚炎です。
[治療]
毎日入浴し、局所を清潔に保つだけで軽快することもあります。
頭部にできた場合は、硫黄(いおう)を含むシャンプーが効果的です。
厚いかさぶたが付着しているときは亜鉛華単軟膏(あえんかたんなんこう)や親水軟膏を厚めに塗った布を貼(は)ります。赤みが強いときは、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)薬を塗ります。ビタミンB2、B6などを内服します。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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脂漏性皮膚炎
しろうせいひふえん
seborrheic dermatitis; eczema seborrhoicum
脂漏性湿疹。脂漏部位に生じた湿疹性の病変で,脂漏とは皮脂の分泌が多く,皮表に固着した状態をいう。前額の髪ぎわ,眉毛,鼻唇溝,わきの下,臍のくぼみ,前胸部などに顕著で,分泌された皮脂はしばしば鱗屑と結合し,脂漏性痂皮を形成する。脂漏性皮膚炎は毛包に一致した炎症性丘疹として初発し,のちに融合して紅斑性,落屑性,結痂性の局面になる。痂皮はやや黄色を帯びる。当初はかゆみはないが,のちに生じることがある。原因は,皮膚の分泌機能異常が基底にあり,これに脂質代謝,細菌感染などが関与するという説が有力であるが,なお不明な点が多い。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の脂漏性皮膚炎の言及
【ふけ】より
…成人にみられるふけ症には,炎症症状を伴わない頭部粃糠疹(ひこうしん)とよばれるものと,頭皮が赤みを帯びていて炎症症状を伴うものとがある。後者には,脂腺の皮脂産生が高まっていることが一因となっている脂漏性皮膚炎や,表皮細胞の角化現象が亢進しているために角質細胞層がつぎつぎとつくられては脱落していく尋常性乾癬(かんせん)などがある。【松尾 聿朗】
[医術]
古代医術ではふけを〈頭垢〉と呼び,まるめて吐き気の治療に服用したほか,ムカデや犬にかまれたときや,竹や木を刺して出て来ない場合に塗る。…
※「脂漏性皮膚炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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