皮脂の分泌が過剰な状態をいう症候名で、脂腺(しせん)の機能亢進(こうしん)がおもな原因である。したがって、脂腺の機能が亢進する生後1~2か月と、思春期や更年期に好発する。また、好発部位は被髪頭部と顔面である。脂漏は油性脂漏と乾性脂漏に大別され、ともに慢性に経過し、その経過中に面皰(めんぽう)に始まる尋常性痤瘡(ざそう)(にきび)をはじめ、脂漏性皮膚炎(湿疹(しっしん)性疾患)や酒皶(しゅさ)(赤鼻)などをしばしば併発する。なお、脂漏が長く存在すると、頭頂部や前頭部に脱毛をきたすことがあり、脂漏性脱毛症あるいは粃糠(ひこう)性脱毛症とよばれる。
[伊崎正勝・伊崎誠一]
前頭部から頭頂部にかけて軟らかい黄色の脂漏性痂皮(かひ)としてみられ、その部分の毛髪を膠着(こうちゃく)させる。顔面では額や鼻で皮脂の分泌がとくに多く、皮膚は油状の光沢を示す。毛孔の多くは拡大し、加圧すると白い虫状の軟脂を排出する。新生児の顔面には、まゆげや鼻翼およびその周辺に乳痂(にゅうか)としてもみられる。
[伊崎正勝・伊崎誠一]
被髪頭部に好発し、頭部粃糠疹(しん)(俗称ふけ症)として知られる。乾燥性で、糠(ぬか)様の小さい白色の鱗屑(りんせつ)(いわゆるふけ)として現れる。この鱗屑性変化は、まゆげ、ひげ、頸(けい)部にまで及ぶことがある。自覚的には軽いかゆみを訴えることが多い。通常、思春期以降におこり、しばしば油性脂漏を併発する。
[伊崎正勝・伊崎誠一]
油性脂漏の治療は新生児脂漏、乾性脂漏の治療は頭部粃糠疹によってそれぞれ代表される。
新生児脂漏の重症なものに対しては、亜鉛華軟膏(なんこう)を1日1回厚めに塗布して、翌日食用油あるいはオリーブ油で軽くふき取り、シャンプーする。その後ふたたび軟膏を塗布する。これを繰り返すことにより、脂漏は徐々に除去される。軽症なものに対してはステロイド外用剤を使用しシャンプーを励行するのみでよい。
頭部粃糠疹に対しては、シャンプーを用いて1日1回洗髪し、ふけが消失したら洗髪の回数を減らしてもよい。通常、洗髪のみでかゆみも消える。全身療法としてビタミンB2やB6を投与する。
一般的注意としては、新鮮な空気のもとで軽い運動を行い、便通を整え、食物としては脂肪や糖分を避ける。また、飲酒や喫煙を制限し、過労を避ける。
[伊崎正勝・伊崎誠一]
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
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