哺乳類の外分泌腺の一種で,単に脂腺とも呼ばれる。毛に付随してほとんど全身の皮膚に分布し,脂肪酸やコレステロールなどを含む脂肪様の物質(皮脂)を分泌し,毛や皮膚をうるおし,乾燥をふせいでいる。毛のない部位,例えば手のひらや足のうらにはないが,口唇,包皮,外陰,肛囲などでは毛をともなわない独立皮脂腺をつくっている(それぞれ口唇腺,包皮腺,外陰腺,肛門腺と呼ばれる)。腺体は真皮中にあり,形は胞状で,毛包(毛囊)を囲み,数個集まっている。腺体をなしている腺細胞には,脂肪滴がしだいにたまり,核は退行し,細胞体は脂肪で満たされるようになる。細胞全体の崩壊によって放出された脂肪様分泌物は,立毛筋の運動によって導管を移動し,毛包頸部へ到達し,毛包に貯留され,絶えまなく皮膚表面へ移行し,分泌される。腺体の基底膜に面した細胞は,分裂能力をもち,細胞分裂を起こし,崩壊して皮脂に変化していく腺細胞を補充している。皮脂腺の発育や機能はホルモンによって調節されているが,季節の影響もうけ,春から夏にかけて機能は亢進する。
執筆者:佐藤 英明
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…(2)粘液腺 粘液を分泌する粘液腺mucous glandは,口腔,鼻腔,咽頭,気管,気管支,消化管など至るところにみられる。(3)脂腺 皮脂腺のように脂質を分泌する腺を脂腺sebaceous glandという。副腎皮質や睾丸(精巣),卵巣の内分泌細胞はステロイドホルモンを分泌するが,これも広義の脂腺ということができる。…
…真皮も膠原繊維束がさまざまな方向に交錯して走る厚くてじょうぶな層として発達し,その下には多量の脂肪を含む皮下組織が存在し,神経や血管の通路となっている。また,哺乳類では小汗腺,大汗腺,皮脂腺,乳腺の四つの皮膚腺が出現する。小汗腺は全身に分布し,水分の多い分泌物を出して,毛とともに体温調節に重要な働きをする。…
※「皮脂腺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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