脱掛ける(読み)ヌギカケル

デジタル大辞泉 「脱掛ける」の意味・読み・例文・類語

ぬぎ‐か・ける【脱(ぎ)掛ける】

[動カ下一][文]ぬぎか・く[カ下二]
衣服を脱ぎはじめる。途中まで脱ぐ。「―・けたコートをまた着直す」
衣服を脱いで物や肩に掛ける。
我が身は竹の林にあらねどもさたが衣を―・くるかな」〈今昔・二四・五六〉
衣服を脱いで賞として人に与える。
「―・け給ふ色々、秋の錦を風の吹きおほふかと見ゆ」〈松風
肩脱ぎをする。また、抜き衣紋えもんにする。
「ふたあひの織物の衣―・けておはするを」〈宇津保・国譲中〉

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精選版 日本国語大辞典 「脱掛ける」の意味・読み・例文・類語

ぬぎ‐か・ける【脱掛】

  1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]ぬぎか・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙 ( 「ぬきかける」とも )
  2. 衣服を脱いで、ものに掛ける。
    1. [初出の実例]「主知らぬ香こそ匂へれ秋の野にたがぬぎかけし藤袴ぞも〈素性〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋上・二四一)
  3. 衣服を脱いで、賞として人の肩に掛けてやる。衣服を脱いで祿として人に与える。
    1. [初出の実例]「みな人も衣ぬぎかけ松風のひびき知りたる人やあるとぞ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)春日詣)
  4. 上衣などを、肩のあたりまで脱ぎすべらせて着る。肩脱ぎをする。また、抜き襟にする。
    1. [初出の実例]「綾の掻練の単襲、二藍の織物の衣ぬぎかけておはするを、大殿見奉り給」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲中)
  5. 脱ぎはじめて途中までくる。
    1. [初出の実例]「Nuguicaqe, uru, eta(ヌギカクル)〈訳〉衣服を脱ぎ下に垂らし、なかば裸になる」(出典日葡辞書(1603‐04))

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