葉緑素をもたない菌類は、有機物を栄養源としなければ生活できない。その有機物が植物の枯れ葉や木材、または動物の死体や排泄(はいせつ)物、あるいは単なる有機物である場合、その栄養のとり方を腐生栄養といい、このような生活を営む菌を腐生菌という。なお、「腐生」は「死物寄生」ともいう。腐生菌が自然界で果たす役割は有機物の分解であり、腐敗とか腐朽という現象となって人の目に触れる。しかし、腐生菌の働きがなければ、自然界は動植物の遺骸(いがい)や排泄物で埋まり、いっさいの生物は生活ができなくなる。いいかえれば、有機物を分解して無機物に還元する菌類の役割の大部分は、腐生菌によってなされているといえる。残りの小部分の分解は、生活体に寄生して病気をおこす、いわゆる病原菌によってなされる。病原菌のうち、宿主の生活細胞から栄養をとる菌は活物寄生菌、絶対的活物寄生菌とよばれる。一方、宿主の生活細胞を攻撃してその生活力を奪い、結局は生命を失った宿主細胞から腐生的に栄養をとる菌は、殺生(さっせい)菌とよばれる。殺生菌は、厳密には活物寄生菌でもないし、腐生菌でもないといえる。
[今関六也]
…陸上では土壌に最も多く,土壌生菌類と称され,物質の分解に大きく関与している。植物につく菌類には寄生菌と腐生菌とがあり,前者は銹病菌(さびびようきん)などの絶対寄生菌と土壌などで腐生生活ができるものが含まれる。後者は落葉,落枝の分解に関与するもので,落葉生菌類と称され,多様のものが含まれる。…
※「腐生菌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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