腐生菌(読み)フセイキン(英語表記)saprophytic fungi

デジタル大辞泉 「腐生菌」の意味・読み・例文・類語

ふせい‐きん【腐生菌】

生物遺体分解など、腐生によって栄養を摂取する菌類総称

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「腐生菌」の意味・わかりやすい解説

腐生菌
ふせいきん
saprophytic fungi

葉緑素をもたない菌類は、有機物を栄養源としなければ生活できない。その有機物が植物の枯れ葉木材、または動物の死体排泄(はいせつ)物、あるいは単なる有機物である場合、その栄養のとり方を腐生栄養といい、このような生活を営む菌を腐生菌という。なお、「腐生」は「死物寄生」ともいう。腐生菌が自然界で果たす役割は有機物の分解であり、腐敗とか腐朽という現象となって人の目に触れる。しかし、腐生菌の働きがなければ、自然界は動植物遺骸(いがい)や排泄物で埋まり、いっさいの生物は生活ができなくなる。いいかえれば、有機物を分解して無機物に還元する菌類の役割の大部分は、腐生菌によってなされているといえる。残りの小部分の分解は、生活体に寄生して病気をおこす、いわゆる病原菌によってなされる。病原菌のうち、宿主の生活細胞から栄養をとる菌は活物寄生菌、絶対的活物寄生菌とよばれる。一方、宿主の生活細胞を攻撃してその生活力を奪い、結局は生命を失った宿主細胞から腐生的に栄養をとる菌は、殺生(さっせい)菌とよばれる。殺生菌は、厳密には活物寄生菌でもないし、腐生菌でもないといえる。

[今関六也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の腐生菌の言及

【菌類】より

…陸上では土壌に最も多く,土壌生菌類と称され,物質の分解に大きく関与している。植物につく菌類には寄生菌と腐生菌とがあり,前者は銹病菌(さびびようきん)などの絶対寄生菌と土壌などで腐生生活ができるものが含まれる。後者は落葉,落枝の分解に関与するもので,落葉生菌類と称され,多様のものが含まれる。…

※「腐生菌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android