腹部外傷(読み)ふくぶがいしょう(その他表記)Abdominal Injury

家庭医学館 「腹部外傷」の解説

ふくぶがいしょう【腹部外傷 Abdominal Injury】

◎重傷度のチェックポイント
 腹膜(ふくまく)で囲まれている部分を腹腔(ふくくう)といい、ここには、肝臓胆嚢(たんのう)、膵臓(すいぞう)、消化管の大部分(胃、十二指腸(じゅうにしちょう)、小腸(しょうちょう)、大腸(だいちょう)などの消化器)のほか、脾臓ひぞう)などが存在しています。腹部けがをすると、これらの臓器が損傷を受けることがあります。
 この腹部外傷には、穿通性外傷(せんつうせいがいしょう)と非穿通性外傷(ひせんつうせいがいしょう)の2種類があります。
 穿通性外傷は、腹部を刃物で刺されたり、銃で撃たれたりして発生するけがで、傷口が開き(開放性外傷(かいほうせいがいしょう))、傷口が狭い(鋭的外傷(えいてきがいしょう))のが特徴です。
 非穿通性外傷は、腹部を打ったり、圧迫されたりしておこるけがで、傷口が開いていず(非開放性外傷(ひかいほうせいがいしょう))、面積が広い(鈍的外傷(どんてきがいしょう))のが特徴です。
 これらの腹部外傷でもっとも緊急度の高いのは、出血性ショックと急性腹膜炎(きゅうせいふくまくえん)をおこした場合です。一刻も早く、救急病院へけが人を搬送することが必要です。安全に搬送するためにも、救急車の出動を要請したほうがよいでしょう。
■出血性(しゅっけつせい)ショック
 肝臓、脾臓は血液が豊富な臓器で、ここを損傷すると、出血が多量になり、ショック状態におちいり、生命が危険になります。大量出血するまで時間がかかることもあります。
 呼吸が速くて荒い、手足が冷たい、肌の血の気が引いて、青白いチアノーゼ)、冷や汗を流すなどが出血性ショックの微候です。
 虚脱状態におちいっているときは生命に危険が迫っています。
■急性腹膜炎(きゅうせいふくまくえん)
 腹部を押すと痛みが強くなり(反動痛(はんどうつう))、腹部が緊張してかたくなっている(筋性防御(きんせいぼうぎょ))などの症状を腹膜刺激症状(ふくまくしげきしょうじょう)といい、急性腹膜炎によります。
 大腸が破れると、もれ出た腸内細菌(ちょうないさいきん)が有毒物質をつくり、この有毒物質が血管から吸収され、中毒症状が現われることもあります。
 出血性ショックに比べると、少し余裕がありますが、できるだけ早く救急病院へ運ぶことが必要です。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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