一刻(読み)イッコク

デジタル大辞泉 「一刻」の意味・読み・例文・類語

いっ‐こく【一刻】

[名]
わずかな時間瞬時。「一刻を争う」「一刻も早く」
昔の時間で、一時ひとときの4分の1。今の約30分間。→
[名・形動]
頑固でわがままなこと。また、そのさま。「一刻老人
せっかちで、何かというとすぐ怒ること。また、そのさま。
「―なとこ田町とこでゆひ」〈柳多留一四
[補説]は、「一国」「一克」「一剋」などとも書く。
[派生]いっこくさ[名]
[類語]片時寸秒寸刻寸時瞬間一瞬瞬時刹那一刹那とっさ数刻束の間たまゆら須臾しゅゆ電光石火

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精選版 日本国語大辞典 「一刻」の意味・読み・例文・類語

いっ‐こく【一刻・一国】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 性急で腹立ちやすいこと。
    1. [初出の実例]「一国な所(とこ)と田町の床(とこ)でゆひ」(出典:雑俳・柳多留‐一四(1779))
  3. がんこでわがままなこと。
    1. [初出の実例]「ソリャアあんまり一国(いッコク)だ」(出典:洒落本・三都仮名話(1781))
    2. 「千金の嫁一っこくをぬかす也」(出典:雑俳・柳多留‐一七(1782))

一刻の補助注記

「一刻」が短い時間を意味し、また急ぐ意を表わすところから生じたとも、一国だけを知って他国を知らない意からともいう。


ひと‐きざみ【一刻】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一段。一階級。副詞的にも用いる。
    1. [初出の実例]「いまひときざみの位をだにと、贈らせ給ふなりけり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  3. 第一の列。第一級。第一位。
    1. [初出の実例]「その御前の御遊びなどに、ひときざみにえらばるる人人」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
  4. 一回、刻むこと。

いっ‐こく【一刻】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 昔の一時(ひととき)四分の一。現在の約三〇分。また、中国一昼夜を昼五十刻、夜五十刻に分けたその一つ、すなわち約一五分間をいう。〔宋書‐礼志〕
  3. わずかな時間。ひととき。瞬時。
    1. [初出の実例]「一刻もはやう国本へくだらうと思ふ」(出典:虎明本狂言・入間川(室町末‐近世初))
    2. [その他の文献]〔漢書‐武五子伝〕

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普及版 字通 「一刻」の読み・字形・画数・意味

【一刻】いつこく

ひととき。わずかの時間。宋・軾〔春夜〕詩 春値千金 り、に陰(かげ)

字通「一」の項目を見る

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