膠原病にみられる肺病変

内科学 第10版 「膠原病にみられる肺病変」の解説

膠原病にみられる肺病変(アレルギー・免疫性疾患)

 膠原病 (collagen vascular disease:CVD)とは,自己の構成成分に対する抗体が産生され,障害が引き起こされる自己免疫性疾患である.血管,結合組織に富む肺は高頻度に障害される臓器の1つで,予後を大きく左右する.
 膠原病に伴う肺病変に遭遇した場合,以下の点に注意を払う.①膠原病自体の固有の肺病変か,②膠原病の治療に対して投与された薬剤による肺障害か,③投与された薬剤に伴う日和見感染症か(ニューモシスチス肺炎などの真菌症など),などを念頭におく必要がある.膠原病肺は,その病態として間質性肺炎がよく知られているが,その他胸膜炎,血管炎,細気管支炎,肺高血圧症など多岐にわたり(表7-4-9),膠原病の種類ごとにその頻度や臨床像,予後は異なる.
 肺病変の存在が治療介入の必要性や予後規定因子として重要であることから,咳,労作時呼吸困難などの自覚症状に加えて表7-4-10のような検査を行う.
 膠原病に合併する間質性肺炎の組織分類は,便宜上,原因不明の特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias:IIPs)の分類に基づいて行われる(表7-4-11).しかしながら多彩な所見を呈し明確な区別が困難な症例も少なくない.組織所見からのみでは膠原病に合併する間質性肺炎とIIPsの鑑別は困難であるが,リンパ濾胞の集簇や非特異性間質性肺炎(non-specific interstitial pneumonia:NSIP)所見,血管病変を認めた場合,背景として膠原病を考慮する.膠原病に合併する間質性肺炎とIIPsとでは予後が異なり,IIPsのうちUIP(usual interstitial pneumonia)を呈するものは,NSIPに比し予後不良である.しかし関節リウマチ以外の膠原病に合併する間質性肺炎においては,UIPとNSIPで予後に差はない.一般に膠原病に合併する間質性肺炎では,病勢が進行性である場合積極的な治療介入が考慮される.[千田金吾]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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