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膠原病肺 こうげんびょうはい Pulmonary Involvements Associated with Collagen Vascular Disease

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家庭医学館の解説

こうげんびょうはい【膠原病肺 Pulmonary Involvements Associated with Collagen Vascular Disease】

[どんな病気か]
 膠原病肺という病名は2つの意味をもっています。広い意味では、膠原病(こうげんびょう)(免疫のしくみとはたらきの「膠原病について」)の患者さんにみられる肺の病気すべてをさします。狭い意味では、膠原病にみられる共通した組織の病的な変化が肺に現われた場合だけをさします。ここでは狭い意味にかぎって説明します。
 膠原病は全身の病気ですから、肺に膠原病による変化(病変)が現われることもまれではありません。おもな病変は、間質性肺炎(かんしつせいはいえん)(肺胞壁に炎症がおこり、ときに線維(せんい)組織が増えて、肺の柔軟性が失われる病気)、気管支や細気管支(さいきかんし)の炎症、胸膜炎(きょうまくえん)などです。
 肺に病変が現われる頻度は膠原病の種類によりますし、肺に出現する病変の種類も異なります。
 膠原病の経過中に、しばしば肺に病変が出現します。もっとも多いのは肺炎など、肺の感染症です。しかし、肺に病変が出現しても、全部が膠原病肺というわけではありません。
 膠原病の患者さんは、病気によって抵抗力・免疫力が低下しているうえ、しばしば使われるステロイド薬や免疫抑制薬のため、からだを守る免疫のはたらきが抑えられ、細菌感染がおこりやすくなります。肺の感染症がとくに多いのは、膠原病のなかでも全身性エリテマトーデス(「全身性エリテマトーデス(SLE/紅斑性狼瘡)」)の場合です。
 また膠原病では、しばしば腎臓(じんぞう)のはたらきが悪化し、からだの水分のバランスがくずれ、血液のねばりが増して循環が悪くなります。このため、肺にうっ血(けつ)などがおこることがあります。
 また、膠原病の治療薬によって間質性肺炎がおこることもあります。
 このように、膠原病に肺病変が現われるのは、肺の感染症であったり、ほかの臓器の病変によるものであったり、薬剤による肺炎であったりします。そこで、膠原病肺であると診断するためには、まず、これらの原因でおこった肺の変化でないことを確かめます。
 膠原病に含まれる多くの病気のなかで、膠原病肺をおこしやすいのは強皮症(きょうひしょう)、ついで多発性筋炎(たはつせいきんえん)・皮膚筋炎です。関節リウマチでも肺の病変がみられます。患者数が多いため、もっとも多く膠原病肺がみられる病気です。
 全身性エリテマトーデスでも、ときに肺病変がみられます。膠原病肺の多くは慢性型ですが、全身性エリテマトーデスの肺病変は急性型が多いのが特徴です。また、混合性結合組織病(こんごうせいけつごうそしきびょう)(「混合性結合組織病」)やシェーグレン症候群(「シェーグレン症候群」)でも肺病変がみられます。
 肺病変がほかの臓器病変より先に現われることがあり、強皮症でときにみられます。最初は膠原病の症状として発病した肺病変であるとは診断できませんから、原因不明ということで、特発性肺線維症(とくはつせいはいせんいしょう)という病名がつきます。肺以外の臓器に膠原病の病変・症状が出て初めて膠原病肺と診断されます。
 膠原病の種類によって肺病変のようすはちがいます。強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎に多くみられるのは、慢性型の間質性肺炎です。関節リウマチでは、慢性型の間質性肺炎が多いのですが、ときに細気管支炎(さいきかんしえん)、胸膜炎(きょうまくえん)(片側性(へんそくせい))がみられます。
 全身性エリテマトーデスでは、急性や慢性の間質性肺炎のほか、まれに両側性の胸膜炎による胸水(きょうすい)がみられます。
[症状]
 膠原病の患者さんに発熱や息苦しさがみられたら急性間質性肺炎が疑われます。徐々に息苦しくなる場合は慢性の間質性肺炎が疑われます。この息苦しさは、間質性肺炎では肺胞の壁に炎症や組織の線維化がおこり、酸素と二酸化炭素の交換がうまくできなくなるために生じます。
 せき、とくにたんの少ない乾性のせきがみられることがあります。たんが多い場合は肺の感染症が疑われます。
[検査と診断]
 病気のおこっている場所(病変部位)を知るために、胸部X線検査、CT検査、核医学検査が行なわれます。
 肺機能検査や、血液ガス検査は、肺の機能がどの程度障害されているかを調べるための重要な検査です。
 血沈(けっちん)、血球検査(けっきゅうけんさ)、CRP、LDHなどを調べる血液検査(「LDH(乳酸脱水素酵素)」)は、肺の炎症の程度、組織の傷害の程度を知るためのものです。
 間質性肺炎といっても、すべて同じではありません。どのような細胞が組織に入り込んで(浸潤(しんじゅん)して)いるか、集まっているか、また、組織の線維化(せんいか)・硬化がどの程度生じているかなど、肺の病変を正確につかむことは薬剤の選択とその効果予測のために重要です。そのため、肺の組織をとって調べる生検(せいけん)(生体組織検査(せいたいそしきけんさ))が必要になります。
 肺生検は、手術で開胸あるいは胸腔鏡(きょうくうきょう)を用いて組織をとったり、口から肺に内視鏡(ないしきょう)(胸腔鏡)を挿入して組織をとったりしますが、からだの状態によってはできないこともありますから、CT像から診断する方法や、気管支肺胞洗浄液(きかんしはいほうせんじょうえき)に含まれる細胞から病変をとらえる方法が研究されています。
[治療]
 膠原病という病気は、慢性に経過し、軽快と再燃をくり返すため、長期的な見通しをもって治療を考えていく必要があります。
 膠原病肺にかぎらず、他の間質性肺炎でも同様ですが、できるだけ安静にして、かぜにかからないような生活をすることが大事です。かぜの防止だけでも間質性肺炎の進行はかなり防ぐことができます。
 膠原病肺に用いられる薬剤は、膠原病と同様、ステロイド薬と免疫抑制薬です。呼吸困難が激しいときや、呼吸不全になりそうな場合は、ステロイド薬の大量使用や間欠(かんけつ)的に用いるパルス療法が行なわれますが、比較的安定している時期には、副作用の多いステロイド薬はなるべく使わないようにします。なお、ステロイド薬がきかない場合は、免疫抑制薬が用いられます。
 膠原病肺の患者さんは、呼吸器科だけでなく、内科にもかかっているはずです。治療、とくに薬剤については双方の医師間の連絡を欠かさないようにすることがいちばん必要なことです。
 また、なるべく早めに酸素療法を開始することです。チューブをつけた生活は、一見すると不自由なようですが、確実に体調がよくなり、延命が期待できるものです。

出典|小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

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