日本国内で販売される乗用車の安全性を評価し、一般に公表する制度。JNCAP(Japan New Car Assessment Program)ともよばれる。消費者が自動車を購入する際の手助けになるほか、自動車メーカーに対してもより安全な自動車の開発を促す効果がある。運輸省(現、国土交通省)が1995年度(平成7)から開始した。車内での死傷事故が急増したために行われるもので、1999年度は、各メーカーから販売台数の多い車を26車種(小型・普通乗用車、軽自動車、ライトバン)選び、それに公募の1車種(トヨタ自動車の「プリウス」)を加えた27車種について実施した。自動車安全性能評価実施要領に基づき、ブレーキ性能、前面衝突安全性能、側面衝突安全性能の3項目について評価し、それぞれその結果が運輸省のインターネット・ホームページやパンフレット、日本自動車連盟などを通じて公表された。評価項目には、2000年度からオフセット衝突試験、車種別死傷率が加わり、さらに2001年度からチャイルドシート安全性能試験(前面衝突試験、使用性評価試験)が「チャイルドシートアセスメント」として自動車事故対策センター(現、独立行政法人自動車事故対策機構)により実施されている。
このほか、2011年度には乗員および歩行者の交通事故実態を勘案した、自動車の総合安全性能の評価、新・安全性能総合評価が始まった。乗員保護性能評価(100点満点)、歩行者保護性能評価(100点満点)、シートベルトリマインダー評価(8点満点)の3項目の合計208点を満点とし、1☆(110.0点未満)から5☆(170点以上)の5段階で評価している。
さらに2014年度には、国土交通省と自動車事故対策機構による自動車の先進安全技術についての試験・評価、予防安全性能アセスメントが始まっている。評価点は、死亡・重傷事故を少なくできる効果に応じて与えられ、合計46点満点(2014年度は40点満点)のうち、その合計が2点以上の場合には(ASV)として、さらに12点以上の場合は先進安全車プラス(ASV+)として認定される。対象には、衝突被害軽減制動制御装置(前方の自動車との衝突に対する被害軽減ブレーキ)、車線逸脱警報装置(車線はみ出し警報)、後方視界情報装置(運転者が直接確認することが困難な後方視界情報)がある。
[伊東和彦 2016年8月19日]
(平栗大地 朝日新聞記者 / 松村北斗 朝日新聞記者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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