自由民(読み)ジユウミン(その他表記)eleutherioi

デジタル大辞泉 「自由民」の意味・読み・例文・類語

じゆう‐みん〔ジイウ‐〕【自由民】

他人強制を受けない自由な人民。特に、古代社会奴隷身分以外の者をさす。

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精選版 日本国語大辞典 「自由民」の意味・読み・例文・類語

じゆう‐みんジイウ‥【自由民】

  1. 〘 名詞 〙 自己の権利を自由に行使し、他人の強制を受けない人々。古代社会では奴隷身分以外の人々をさす。
    1. [初出の実例]「内自由民 九千七百九十七人」(出典:東京朝日新聞‐明治三八年(1905)八月八日)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自由民」の意味・わかりやすい解説

自由民[古代ギリシア]
じゆうみん[こだいギリシア]
eleutherioi

ポリスにおいて,奴隷などの隷属民と社会的に区別される人々。これはさらに市民と非市民とに分れる。市民,特に成年男子市民のみが自由民 (完全市民) として,主権的存在としての民会 (エクレシア ) を構成し,役人となり,軍役を果すなど国政に参加した。外国市民で構成された非市民は,メトイコスとして法的保護を受け,職業活動の自由を保証されたが,同時に税を徴収され,公的負担,軍役を課された。古代ローマと異なり,解放奴隷も非市民として扱われた。

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世界大百科事典(旧版)内の自由民の言及

【自由】より

…このようなマイナス評価を多少ともともなった〈自由〉の語が,liberty,freedomの訳語となったことが,日本の近代における自由・自由主義に対する評価に微妙な影響を与えつづける結果になっている点は,見逃すわけにはいかない。 ひるがえって,liberty,freedomの語義についてもさまざまな論義があるが,その語源が共同体の成員権を意味するという説に立つならば,日本の場合も,古代の平民(公民),中世の平民百姓,近世の百姓はみな自由民ということも可能であり,この場合の自由は私的な隷属を拒否し,みずからを奴隷―不自由民から区別する自由ということになる。またそれを共同体からの自由と解するならば,日本の中世においても,身寄りのない貧しさを意味する語として広く使われた〈無縁〉という言葉は,転じて親子・主従等の縁を積極的に切った自由な境地を示す語となり,私・内証(ないしよう)に対する公・世間を意味する〈公界(くがい)〉の語は,私的な縁・保護を断ち切る自由を示す言葉として用いられ,戦国時代に用いられている〈楽〉〈十楽(じゆうらく)〉も,同様な意味をもったといってよい。…

※「自由民」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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