改訂新版 世界大百科事典 「芝居乗合話」の意味・わかりやすい解説
芝居乗合話 (しばいのりあいばなし)
演劇書。狂言作者の2世中村重助の著と伝える。1800年(寛政12)ころの成立か。5巻2冊。内容は,歌舞伎の歴史,芝居の行事や風俗,役者の給金などを記した一種の歌舞伎案内書。巻一は,芝居,役者の起源から中村,市村,森田3座の系図を述べ,巻二は,年中行事について記す。巻三以下は,問答体形式で,劇場の経営,役者の話題,作者の仕事などを記す。書名は,乗合船で逢った人の聞書きを綴ったという構成から来ている。原本は現存しないが,写本が2種ある。《日本庶民文化史料集成》第6巻などに収録。なお異本として,これに新しい事項を書き加えて構成も大幅に改めた《劇場新話》上下2巻(《燕石十種》第2に収録)がある。
執筆者:宮本 瑞夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報