花頂院(読み)かちよういん

日本歴史地名大系 「花頂院」の解説

花頂院
かちよういん

京都市東山区粟田口あわたぐち辺りにあったとされる寺。天台宗寺門派園城おんじよう(三井寺、現滋賀県大津市)別院開基・創立・興亡など不詳。「山城名勝志」に「土人云」として「粟田口天王社の東ノ山麓に有池、今は田となれり。是れ古の花頂院の旧跡」とあるのを信ずれば、花頂山北麓、東海道に面して堂宇を有したことになり、花頂の字名を伝える地にあたるが定かでない。「名所都鳥」には「花頂院は粟田の西にあり」としかない。「明月記」寛喜二年(一二三〇)一二月一六日条に「武士向粟田塔前」とあるが、「太平記」巻二一(法勝寺塔炎上事)に康永元年(一三四二)三月二〇日のこととして「岡崎ノ在家ヨリ俄失火出来テ、(中略)暫アレバ花頂山ノ五重ノ塔、醍醐寺ノ七重ノ塔、同時ニ焼ケル事コソ不思議ナレ」とみえる塔は、中世に残存した花頂院の遺構であったと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android