若桜鬼ヶ城跡(読み)わかさおにがじょうあと

国指定史跡ガイド 「若桜鬼ヶ城跡」の解説

わかさおにがじょうあと【若桜鬼ヶ城跡】


鳥取県八頭(やず)郡若桜町三倉にある城跡八東(はっとう)川と三倉川に挟まれた標高452mの鶴尾山(つるのおやま)の山頂に築かれた山城。鎌倉時代の在地領主矢部氏によって築城されたと考えられるが、築城時期は不明である。戦国時代には、尼子氏、毛利氏など有力大名の勢力争いの舞台となった。1580年(天正8)に豊臣秀吉の鳥取城攻めの拠点となり、落城した。1581年(天正9)に豊臣方の木下重堅、関ヶ原合戦後の1600年(慶長5)に山崎家盛が城主となった。その後、池田光政因幡(いなば)・伯耆(ほうき)2国の領主になるとほどなく、一国一城令によって廃城となった。城跡は山腹遺構と山頂遺構に大別される。山腹遺構は竪堀と堀切りが南北の尾根沿いにつくられ、小規模な曲輪(くるわ)群を形成。山頂遺構は木下重堅、山崎家盛により整備され、天守台を備えた本丸を中心に、西側に約3段、北側に2段、南側に1段の石垣造りの曲輪が築かれた。この石垣は廃城の際に人の手で破壊された状態のままで残っている。遺構からは一国一城令による破城の一端がうかがえ、また戦国期から近世初期にかけての山陰地方の国人領主の動向と同時期の城郭変遷を知るうえで貴重である。2008年(平成20)に国の史跡に指定された。若桜鉄道若桜線若桜駅から徒歩約40分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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