草片・蔬・茸・菌（読み）くさびら

精選版 日本国語大辞典

くさ‐びら【草片・蔬・茸・菌】

(上代は「くさひら」か)

[1] 〘名〙

① (草片・蔬) 食用となる草。あおもの。野菜。山菜。

※書紀（720）持統三年正月（北野本訓）「遂に此に至りて、蔬(クサヒラ)食ひて戒(いむこと)を持(たも)つ」

② (茸・菌) きのこ類。たけ。《季・秋》

※宇津保（970‐999頃）国譲下「おまへのくち木に生ひたるくさびらども、あつい物にさせ」

※虎明本狂言・茸（室町末‐近世初）「某が坪の内に、見事なくさびらが一本はへてござったほどに」

③ 獣の肉をいう斎宮の忌み詞。

※延喜式（927）五「凡忌詞〈略〉外七言〈略〉宍称_レ菌(くさひら)」

[2] (茸・菌) 狂言。和泉流・大蔵流。庭にきのこが生えすぎて困った男が山伏に祈祷を頼むが、祈れば祈るほどきのこがふえてくる。茸山伏。

[語誌]元来は、「菜一般」を指していたとされるが、中古以降は広く「きのこ」の意で用いられ、現代では「きのこ」の方言として、近畿地方を中心に限定的な分布を示している。

出典　精選版 日本国語大辞典