草莽雑誌(読み)そうもうざっし

改訂新版 世界大百科事典 「草莽雑誌」の意味・わかりやすい解説

草莽雑誌 (そうもうざっし)

明治政府を激しく攻撃した自由民権運動初期の政治評論雑誌。1876年3月創刊。自主社より発行。社長は栗原亮一(旧鳥羽藩士。愛国公党創立尽力,のち衆議院議員)。体裁は半紙半截二つ折で,各号とも10葉程度。第3号掲載の論文〈圧制政府顚覆ス可キノ論〉と〈暴虐官吏刺殺ス可キノ論〉は,新聞紙条例適用をうけて編集人が禁獄3年に処せられた。さらに7月,国安妨害の新聞雑誌は発行を禁止するとの太政官布告の初適用により発行禁止となり,第6号で廃刊。自主社はただちに同年8月《莽草雑誌》と改題して政府攻撃を続けたが,9月これも禁止され,第5号で廃刊となった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「草莽雑誌」の意味・わかりやすい解説

草莽雑誌
そうもうざっし

明治初期の政治評論雑誌。栗原亮一(りょういち)社長の自主社が1876年(明治9)3月に創刊。不定期刊行の毎号10葉内外の小冊子であったが、政府を藩閥専制と激しく批判したため、同年7月5日に出された太政官(だじょうかん)布告第98号(国安を妨害し風俗を壊乱すると認められた新聞雑誌の発行禁止、停止を規定)の最初の適用を受け、7月に第6号で廃刊となった。しかし、政府の弾圧に抗して8月『莽草雑誌』と改題して発行し、果敢な言論闘争を続けたが、これも9月に第5号で発行禁止となった。さらに後継誌として集思社より『草莽事情』(1877年1~6月、第9号で発禁)が刊行された。

[佐藤能丸]

『明治文化研究会編『新版 明治文化全集第五巻 雑誌篇』(1955・日本評論社)』

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世界大百科事典(旧版)内の草莽雑誌の言及

【評論新聞】より

…75年3月に再刊(月5回,のち月10回刊)。終始,政府当局の内政外交の批判や自由民権運動の正当性を主張する立場を貫いたが,76年7月同じく政府攻撃の急進派雑誌《湖海新報》《草莽(そうもう)雑誌》とともに発禁処分を受ける。同年8月《中外評論》と改題して発行,これも同10月第28号で禁止されると,さらに同11月《文明新誌》と改題して果敢な言論闘争を続けたが,やはり翌77年6月弾圧を受け,第41号で発禁となる。…

※「草莽雑誌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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