荒びる(読み)アラビル

デジタル大辞泉 「荒びる」の意味・読み・例文・類語

あら・びる【荒びる】

[動バ上一]《動詞「あらぶ」(上二段)の上一段化》
気持ちがすさむ。
「何の彼のと感情が―・びて来て仕方がないものですから」〈秋声仮装人物
暴れる。乱暴する。
陸奥国の―・びる蝦夷えみし等を」〈続紀宣命・六二詔〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「荒びる」の意味・読み・例文・類語

あら‐・びる【荒】

  1. 〘 自動詞 バ上一 〙
  2. ( 上二段活用の「あらぶ(荒)」が一段化したもの ) 荒々しくふるまう。乱暴する。暴れる。
    1. [初出の実例]「陸奥国の荒備流(あらビル)蝦夷等を討ち治めに」(出典:続日本紀‐延暦八年(789)九月一九日・宣命)
  3. 心・言葉・呼吸などが荒くなる。
    1. [初出の実例]「此の心悪しき子の心荒比留(あらビル)は、〈略〉鎮め奉れと」(出典:延喜式(927)祝詞)
  4. 土地・建物などが手入れをされずに荒れる。
    1. [初出の実例]「武家の下屋敷が荒びている噂をして」(出典:湯葉(1960)〈芝木好子〉)

荒びるの語誌

( 1 )奈良時代、上一段の活用語尾は通常甲類であるが、「廻(み)る」のように乙類もある。「あらびる」の「び」はの「続日本紀‐宣命」の「備」が乙類であるのに対して、の「延喜式」の「比」は甲類であり、甲乙は決定できない。
( 2 )「あらびる」の古い例は「あらぶ」の例に比べて祝詞や宣命などの形式化された資料に見られるのみである。

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