菩薩面(読み)ぼさつめん

改訂新版 世界大百科事典 「菩薩面」の意味・わかりやすい解説

菩薩面 (ぼさつめん)

行道面(ぎようどうめん)の一種。奈良時代に伝来した林邑楽(りんゆうがく)の《菩薩》,または唐代に流行した《菩薩蛮》曲が基であると考えられていた日本の舞楽の《菩薩》は,中世に絶えてしまったので,それが仮面をつけていたかどうか明確でないが,おそらくそれと関係のある行道に登場する菩薩は仮面を使用していた。12世紀には記録にも見え,遺品は各地に存在する。法会中の行道に用いられる場合と,迎講(むかえこう)(来迎会(らいごうえ))に用いられる場合とあるが,遺品の上からは区別しがたい。いずれにせよその時代の仏像における菩薩の面相とほとんど共通する表現で,製作者もおそらく仏師が多かったのであろう。在銘品としては康和4年(1102)の法隆寺の1面が古く,東大寺や高知県小村神社の同時代の一群をはじめ,鎌倉時代では兵庫県浄土寺の25面一組,鶴岡八幡宮の1面などが代表的なもので,なかに伎楽面のように大きく刳りの深い作品があって,その源流が古いことを想像させる。
行道面
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