インドや中国の仏寺で行われていた行像や行道の影響を受けて,日本の仏寺でも古代から大法要には特定の仮装の者が参加している。その種類や数は法要の形式や時代によって異なるが,この仮装に用いる仮面を総称して行道面という。法要の形式が最も整った11~12世紀には,諸仏諸堂の落慶(らつけい)供養会や諸寺の舎利会,来迎(らいごう)会(迎講(むかえこう))などに,師子(しし)(獅子頭),師子子(ししこ)(蠅払),(くちとり)(口取,綱引),八部衆(輿舁(こしかき)),十二天,二十八部衆,菩薩,天童などの種類の面が用いられた。現在も行われる奈良法隆寺や大阪四天王寺の聖霊会には師子,師子子,の一群と八部衆が出,奈良当麻寺や東京浄真寺の来迎会には25の菩薩の面が用いられる。来迎会の形式によっては地蔵,竜樹という僧形の面や阿弥陀如来の面,持幡先導役の天童面なども使用する。なお,神社の祭礼において神幸の先導に獅子舞と王舞を伴う場合があり,これに使用する獅子頭と王舞面(鼻高,鼻ノ王,王ノ鼻)も法要の場合の師子の一群と同じ系統の仮面と考えられるので,この種類に含めたり,追儺(ついな)や鬼追い(鬼走り)などの会式に用いられる鬼面もこの呼称によってまとめられることが多い。その題材は仏教の神格が多いし,技法的には同じ時代の舞楽面に共通するもので,作者はふつう仏師と考えられ,表現の特色はその時代の仏教彫刻に通ずる。(図)
執筆者:田辺 三郎助
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…一方中世文化の基調に大きな比重を占める神道と仏教の融合,そこに生まれた独自の宗教的行事もまた仮面を育てていた。11~12世紀に一応の形を整えていった落慶供養会や舎利会,来迎会,放生会などの法会に用いられた行道面がそれである。なかには同時期の舞楽面と不即不離のものもあるが,一部はそのころ盛行しだした祇園御霊会などの神幸に登場する獅子舞や王舞の仮面とその系統を同じくするものがあり,それらは伎楽面の一部とかかわり,さらに古く,原始呪術的な災払いあるいは露払い的な役柄とかかわっている。…
※「行道面」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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