念仏行者が臨終のとき,仏・菩薩が迎えに来て,極楽浄土に引きとるさまを儀式化した法会。迎講(むかえこう),迎接会(ごうしようえ)ともいい,練供養(ねりくよう)とも俗称する。阿弥陀信仰に基づく法会である。源信が始めたと伝えられ,長久年間(1040-44)成立の鎮源の《本朝法華験記》には,弥陀迎接の相を構え,極楽荘厳の儀を顕したもので,世間では迎講と称されたと出ている。それは主として野外で行われる一種の宗教劇であった。今もなお二十五菩薩来迎会・同練供養などと称して,弥陀の来迎引接と念仏者の極楽往生を演じる法会があるが,これらは11世紀以降さかんに催された迎講の遺風であり,思想的にも儀礼的にも脈絡を有している。その代表的なものは当麻(たいま)寺の来迎会であるが,ここでは中将姫の往生の場面が演劇化されている。来迎会に必要なものは,舞台としては極楽と現世を表象した極楽堂と娑婆堂,それに両者を結ぶ懸橋,また装具としては仏菩薩の面と装束などである。仏菩薩には講員や,厄歳の希望者などが扮するが,大きな利益(りやく)があると信じられている。
執筆者:伊藤 唯真
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…江戸においても山王祭,神田祭に出された山車人形の趣向は,ただちに歌舞伎舞台で踊られ,仮装の踊子行列や作り物の風流など,各町ごとの趣向が競われ,多くの番付が残る。寺院でのお練りは,浄土信仰にもとづき菩薩たちが来迎する様子を具現するもので,練供養(ねりくよう),来迎会(らいごうえ),菩薩練道などとも呼ばれる。奈良県北葛城郡当麻町の当麻寺や,京都市東山区即成院,大阪市平野区大念仏寺のものなどが有名で,京都の教王護国寺(東寺)などには,平安期から鎌倉時代の菩薩行道面も残る。…
…その種類や数は法要の形式や時代によって異なるが,この仮装に用いる仮面を総称して行道面という。法要の形式が最も整った11~12世紀には,諸仏諸堂の落慶(らつけい)供養会や諸寺の舎利会,来迎(らいごう)会(迎講(むかえこう))などに,師子(しし)(獅子頭),師子子(ししこ)(蠅払),(くちとり)(口取,綱引),八部衆(輿舁(こしかき)),十二天,二十八部衆,菩薩,天童などの種類の面が用いられた。現在も行われる奈良法隆寺や大阪四天王寺の聖霊会には師子,師子子,の一群と八部衆が出,奈良当麻寺や東京浄真寺の来迎会には25の菩薩の面が用いられる。…
※「来迎会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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