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林邑楽 りんゆうがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

林邑楽
りんゆうがく

日本古代音楽の一つ。チャンパ (林邑。現在のベトナム) から日本に渡来した音楽と舞踊で,奈良時代より寺院の供養音楽や朝廷の儀式音楽として採用された。平安時代初期に行われたいわゆる楽制改革によって,音楽的に再構成され唐楽のなかに組込まれたのちは,林邑楽として演奏されることはなくなった。日本における起源は,天平勝宝4 (752) 年,東大寺大仏開眼供養の導師として婆羅門僧正が来朝した際,随従してきたチャンパの僧仏哲が伝えたのを初めとするといわれるが,確証はない。実際には僧正が居をおいた奈良の大安寺で育成された舞楽を,仏哲にちなんで林邑楽といったものと思われる。曲目としては,『抜頭 (ばとう) 』『陪臚 (ばいろ) 』『迦陵頻 (かりょうびん) 』など8曲をあげて林邑八楽ともいわれるが,異説も多い。「乱声 (らんじょう) 」のうち,『林邑乱声』ともいわれる『古楽乱声』も,林邑楽に基づくとも考えられる。これらの曲は,盤渉 (ばんしき) 調,沙陀 (さだ) 調など西域系統の調子の曲が比較的多い。

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世界大百科事典 第2版の解説

りんゆうがく【林邑楽】

日本の雅楽の舞楽の一部門として現存する東南アジア起源の楽舞。林邑は現在のベトナム地方にあたる。日本への伝来経路には諸説あるが,最も流布しているのは,奈良時代に林邑僧の仏哲(ぶつてつ)と南天竺僧の波羅門(ばらもん)僧正が伝えたという説である。その伝来説も,今日では直接日本に伝来したというより中国経由説のほうが有力である。平安中期ころのいわゆる楽制改革により,唐楽とともに左方(さほう)に配された。林邑楽とされる演目を他の左方舞楽曲と比較すると,その特徴が舞や音楽に認められはするが,舞楽全体に様式化と日本化が進んでいるため,林邑楽と特定し難い。

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大辞林 第三版の解説

りんゆうがく【林邑楽】

古代日本に伝来した外国楽舞の一種。伝来者は736年来日の林邑人僧侶仏哲といわれるが、楽舞自体は中国の胡楽こがくである天竺楽てんじくがく(インド起源)につながると考えられる。平安時代以降は左方さほう唐楽に編入された。「抜頭ばとう」「陪臚ばいろ」「胡飲酒こんじゆ」「迦陵頻かりようびん」「陵王りようおう」などの曲がそれにあたるといい伝える。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

林邑楽
りんゆうがく

古代日本に伝わった外来音楽。林邑とは2世紀ごろ、いまのベトナム南部付近につくられたチャンパ国の中国名。インド文化の影響が強い。日本には南天竺(なんてんじく)の僧姿羅門僧正(ばらもんそうじょう)が、林邑の僧仏哲(ぶってつ)とともに唐を経て736年(天平8)に伝えたというが、実際には唐の胡楽(こがく)(外来楽)とも考えられる。752年(天平勝宝4)には大仏開眼供養会で三舞舞われ、809年(大同4)には雅楽寮に楽師が置かれるなど尊重された。その後、唐楽左舞に編入され、今日に至る。「林邑乱声(らんじょう)」のほか、林邑の八楽として『菩薩(ぼさつ)』『陪臚(ばいろ)』『抜頭(ばとう)』『迦陵頻(かりょうびん)』『胡飲酒(こんじゅ)』『蘇莫者(そまくしゃ)』『輪鼓褌脱(りんここたつ)』『剣気(けんき)褌脱』をあげるが、大槻如電(おおつきじょでん)らのように、後の3曲のかわりに『万秋楽(まんじゅうらく)』『陵王(りょうおう)』『安摩(あま)・二ノ舞(まい)』(本来は2曲であるがつねに続けて演奏)を入れる説もある。[橋本曜子]

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世界大百科事典内の林邑楽の言及

【雅楽】より

…うち,国風歌舞(計262名)については歌,儛,笛の師と生とを記すのみで個々の種目名を明記しないが,外来系のもの(計147名)には,唐楽,高麗楽,百済楽,新羅楽,伎楽の名がみえる。令制施行後も度羅楽(とらがく),林邑楽,渤海楽が渡来した。まず度羅楽(伝来の経緯も出自も未詳)が奈良時代初期に伝わり,731年(天平3)7月の雅楽寮定員改訂の際に度羅楽生62名が追加された。…

【舞楽】より

…このような外来楽舞の全盛期は,おそらく752年(天平勝宝4)の東大寺大仏開眼供養あたりであったろう。9世紀初頭までに伝わった外来楽舞としては,唐楽,高麗楽,百済楽,新羅楽,度羅楽(とらがく),林邑楽(りんゆうがく),呉の伎楽などが知られ,このほか渤海楽(ぼつかいがく)の記事もある。 9世紀の半ばごろから,これら外来音楽の内容を取捨整備し,あわせて日本人の好みに合った音楽へ改変する,いわば外来音楽の国風化の気運が高まった。…

※「林邑楽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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