(読み)イ

デジタル大辞泉 「萎」の意味・読み・例文・類語

い【萎】[漢字項目]

常用漢字] [音](ヰ)(呉)(漢) [訓]なえる しぼむ しおれる
勢いがなくなる。「萎縮萎靡いび陰萎

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「萎」の意味・読み・例文・類語

なや・す【萎】

〘他サ四〙
① なよなよとさせる。衣服などをよれよれにする。また、物をやわらかくする。しなやかにする。
※胡琴教録(13C初)上「ひぢながら下す様にひくがよき也。てくびをなやしてひくはれつなり」
※黴(1911)〈徳田秋声〉一二「痛い頭を萎(ナヤ)さうとして、笹村は机を離れてふと外へ出て見た」
② 鉄などを打ちきたえる。ねやす。ねる。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
③ 体から力を抜きとる。気力をなくさせ、くたくたにする。また、なだめて気をそぐ。
※両足院本山谷抄(1500頃)二「此佳人が一とふし歌たれば、聴者が腰をなやすぞ」
尺八で、音高をなめらかに少し上げ下げする。
読本・南総里見八犬伝(1814‐42)九「しらべ妙なる管の名も、思按も今宵一夜きり、翌はわがうへ友のうへに、心はめる手、人の智を、かる手乏しくうちふさぐ、紊れを何日かなやすべき」
⑤ 寄席芸人仲間で、芸に力を入れないでなまける、力を抜くの意にいう。

しおれ しほれ【萎】

〘名〙 (動詞「しおれる(萎)」の連用形名詞化)
① しなやかであること。着馴れなどして柔らかであること。
蜻蛉(974頃)下「なよよかなる直衣(なほし)、しをれよいほどなる掻練(かいねり)の袿(うちき)ひとかさね」
② 弱々しい哀れさ。生気のないさびしさ。また、そうしたもののかもし出す情趣
※所々返答(1466‐70)「源俊頼は更に歌をしらぬ好士也。その故は〈略〉しほれ、不便、もの悲しき方の欠けたるとの給へるなるべし」

しな・ゆ【萎】

〘自ヤ下二〙 しぼむ。生気を失ってしおれる。→しなえうらぶる
万葉(8C後)二・一三一「夏草の 思ひ思奈要(シナエ)て 偲ふらむ 妹が門見む 靡け此の山」

しな・びる【萎】

〘自バ上一〙 しな・ぶ 〘自バ上二〙 みずみずしさがなくなり、衰えしぼむ。水気がなくなる。
名語記(1275)六「草木などのかれもきはまらざるをしなびたりといへる」

しな・ぶ【萎】

〘自バ上二〙 ⇒しなびる(萎)

な・ゆ【萎】

〘自ヤ下二〙 ⇒なえる(萎)

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