著作権管理団体(読み)ちょさくけんかんりだんたい

知恵蔵 「著作権管理団体」の解説

著作権管理団体

著作権者から委託を受けて著作権を管理している団体のこと。著作権は、著作物を創作した時点で著作者がどこにも申請や登録することなく自動的に取得する権利である。著作物を出版、演奏上演、放送などの形態で利用したい者は、著作権者からその許諾を受け、使用料などの条件を決める必要があるが、著作権が譲渡・相続されていても、どこかに登録されているわけでもないため、実際の著作権者が誰なのかが分かりにくいことがある。小室哲哉の詐欺事件はこれを悪用して、著作権を二重に譲渡したわけである。また、著作権の利用許諾の手続きが著作権者にとって煩わしいことがある。そのため、著作権を管理する団体として、「著作権に関する仲介業務に関する法律」(1939年4月5日公布)に基づき、著作物の種類ごとに、(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)、(社)日本文芸著作権保護同盟、(協)日本脚本家連盟、(協)日本シナリオ作家協会の4団体が設立されていた。しかし、著作権等管理事業法(2001年1月29日公布)制定後は、誰でもが、文化庁長官の登録を受ければ「著作権等管理事業者」となり、著作権または著作隣接権の管理事業を行うことができるようになった。中でも、取り扱う著作物等の使用料額決定にあたり大きな影響力を持つ事業者を、文化庁長官が「指定著作権等管理事業者」と指定している。これら指定団体は、(社)日本音楽著作権協会、(協)日本脚本家連盟、(協)日本シナリオ作家協会、(社)日本複写権センター、(社)日本レコード協会、(社)日本芸能実演家団体協議会である(08年11月現在)。なお、(社)日本文芸著作権保護同盟は03年に解散し、その業務は(社)日本文藝家協会著作権管理部とNPO日本文藝著作権センターに引き継がれている。

(高橋誠 ライター / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報