葡萄唐草文(読み)ぶどうからくさもん

精選版 日本国語大辞典 「葡萄唐草文」の意味・読み・例文・類語

ぶどうからくさ‐もんブダウからくさ‥【葡萄唐草文】

  1. 〘 名詞 〙 葡萄をあらわした蔓唐草の文様アッシリアに起源し、ギリシア・ローマ・パレスチナから中国日本等へ伝播した。中国では、隋・唐の海獣葡萄鏡や敦煌第二〇九洞天井方頂の文様などに見られ、日本のものとしては、奈良薬師寺薬師如来台座の文様が著名。
    1. 葡萄唐草文〈奈良県薬師寺薬師如来台座〉
      葡萄唐草文〈奈良県薬師寺薬師如来台座〉

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「葡萄唐草文」の意味・わかりやすい解説

葡萄唐草文
ぶどうからくさもん

葡萄の房,つる,葉などで構成した唐草文様。古くアッシリアに始ったといわれ,ギリシア,ローマ,ササン朝ペルシアなどで盛行し,建築の装飾,土器織物の文様として用いられた。やがてシルクロードを経て中国,日本にも伝来。中国では雲崗石窟,敦煌千仏洞の天井の装飾,敦煌出土の絹織物の文様,隋,唐の鏡背文様に用いられた。日本では白鳳時代から盛んに用いられ,岡寺はじめ大和南部の寺院の屋根瓦の瓦当装飾,葡萄唐草文と禽獣を配した海獣葡萄鏡の鏡背文様,薬師寺金堂の薬師如来台座,法隆寺五重塔下北面の塑造地棺の文様,正倉院の織物の図案などの作例がある。室町時代末頃には西本願寺の書院欄間のように,建築装飾や蒔絵などの工芸意匠にも用いられた。

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