メギ(読み)めぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メギ」の意味・わかりやすい解説

メギ
めぎ / 目木
[学] Berberis thunbergii DC.

メギ科(APG分類:メギ科)の落葉低木。枝は長枝と短枝があり、短枝に葉を束生する。葉は互生し、小形のへら形で全縁。長枝の葉は刺(とげ)に変形する。4~5月、散形状の集散花序をつくり、黄色花を開く。萼片(がくへん)は6枚、花弁は6枚で2個の蜜腺(みつせん)がある。雄しべは6本、葯(やく)は弁開する。刺激を与えると、花糸は雌しべ側へ傾く。雌しべは1本、子房は1室で中に胚珠(はいしゅ)が2、3個ある。果実は赤色の液果。山地に生え、中部地方以西の本州から九州に分布する。名は、茎や葉を煎(せん)じて洗眼に使うことによる。

 メギ属の植物は刺が鋭いのでヨロイドオシ、トリトマラズなどの異名がある。コムギに害を与えるサビ菌のサビ胞子の寄主として知られている。また、ベルベリンなどのアルカロイドが含まれるため、古くから眼病薬、胃薬などに用いられるほか、庭木としても利用される。世界に約600種知られ、北半球の温帯域を中心に、アフリカ、南アメリカまで分布する。日本にはメギ、オオバメギヘビノボラズヒロハヘビノボラズヒイラギナンテンが生育する。

[寺林 進 2019年9月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メギ」の意味・わかりやすい解説

メギ(目木)
メギ
Berberis thunbergii

メギ科の落葉小低木。関東地方以西に分布し,山野に生える。高さは 2mぐらいになり,多数分枝する。枝には稜があり,鋭いとげがある。葉は小型で倒卵形または長楕円形で,節ごとに密に集ってつく。春に,枝端から散房花序あるいは散形花序をなして黄色の数花を下向きにつける。萼,花弁とも6枚で長楕円形,6本のおしべがある。材は黄色く,小蘗 (しょうばく) といって苦味健胃剤とするほか,枝葉の煎汁 (成分としてアルカロイドなどを含む) を洗眼剤として用いる。この属の植物は北半球や南アメリカに多くの種類がある。

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