朝日日本歴史人物事典 「藤原道雅」の解説
藤原道雅
生年:正暦3(992)
平安時代の歌人。中古三十六歌仙のひとり。藤原伊周と源重光の娘の子。一条天皇皇后定子は叔母。松君という幼名で『枕草子』にも登場する。一時は頭中将まで至り従三位に昇ったが,自家の没落を謀った藤原道長への反発からか,奇矯粗暴な言動が多く,閑職に追われ,荒三位とも呼ばれた。極官は左京大夫。三条上皇皇女前斎宮当子内親王と密通し上皇の勘当を受けたが,『袋草紙』に「道雅三位はいと歌仙とも不聞,斎宮秘通間歌多秀逸也」と評され,勅撰集入集歌7首中5首と,百人一首選入歌「今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならでいふよしもがな」はこの事件をめぐる詠である。<参考文献>井上宗雄『平安後期歌人伝の研究』
(中周子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報